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存在感増すコンビニのチルド弁当 定温弁当に残された強みとは?チルドのメリットに注目集まる(1/3 ページ)

» 2019年06月08日 05時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

 大手コンビニチェーンですっかり定着したチルド弁当。味や彩りがよくなるだけでなく、廃棄ロスが少なくなるといったメリットの大きさが注目されており、存在感が増している。

 では、チルド弁当と比べたとき、定温弁当にはどんなメリットが残されているのだろうか? 2019年度から取り扱いアイテム数を増やす方針を掲げているファミリーマートのケースで分析してみよう。

photo ファミマは5月からチルド弁当を相次いで投入

チルド弁当は成長分野

 ファミマの場合、弁当カテゴリー全体の売り上げは長期的にマイナストレンドだ。競合となるスーパーが店内調理と低価格弁当を強化していることや、ドラックストアでも弁当が販売されるようになっていることが背景にある。また、コンビニを訪れたお客が空腹を満たすために、一食完結の弁当ではなく、さまざまな食品を組み合わせて買うようになっていることも理由として挙げられる。

 苦戦気味の弁当カテゴリーだが、成長分野もある。それはチルド弁当だ。14〜18年度にかけて、売り上げが右肩上がりで増えている。チルド弁当のラインアップは親子丼、かつ丼、オムライス、麻婆豆腐丼といった「玉子系・中華系」に限られていた。しかし、19年度からは、ハンバーグ丼、ガパオライス、ミニビビンバ丼といった「洋風・エスニック系」や「ミニタイプ」を投入する。

 売り場の見せ方も変わる。温度帯を分けられるじゅう器があるモデル店舗では、定温弁当のアイテム数は21で、チルド弁当は7という構成だった。しかし、19年度からは定温弁当をのアイテム数を17に減らして、チルド弁当を11に増やす計画だ。

 ファミマはチルド弁当を強化することで、若い女性客の獲得を目指す。定温弁当を購入する客層は男性が71%で女性が29%なのに対し、チルド弁当は男性が59%で女性は41%となっている。しかも、チルド弁当を支持しているのは20〜40代の女性が多いというのも大きな特徴だ。コンビニ各社は若者離れに苦しんでいるが、チルド弁当が売れれば顧客層の若返りも狙える。

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