ドラッグストア業界の再編が加速している。ココカラファイン(業界7位)を巡って、マツモトキヨシホールディングス(HD、業界4位)とスギHD(業界5位)が、合併を申し入れている状況だ。ココカラはどちらをパートナーに選んでも、合併が実現すれば業界首位に躍り出る有利な状況。2社に言い寄られるモテモテの状況であり、マツキヨとスギを両てんびんにかけて、わが世の春を謳歌しているようにも見える。
しかし、その背景にはコスモス薬品(業界3位)が運営する「ディスカウントドラッグコスモス」の存在があると考えられる。コスモスは、2018年度JCSI(日本版顧客満足度指数)の「ドラッグストア」部門で、8年連続の業界1位という実績を誇っており、集客力も最強と目されている。九州を基盤とするコスモスの東征と東京進出があり、ココカラ、マツキヨ、スギは、自らの牙城が崩されかねないという危機意識が高まっているのではないか。
コスモスは、4月17日に東京1号店となる広尾駅店をオープンした。同店はこれまで郊外に出店してきた食品スーパーのような大型店とは違うタイプだ。駅前にあるコンパクトな店舗で、調剤や化粧品を強化している。これは衝撃的なビジネスモデルの転換だ。
都会の駅前でコンパクトな調剤併設型はココカラ、都会の駅前でコンパクトな化粧品強化型はマツキヨと、それぞれビジネスモデルがバッティングする。さらに、調剤併設を将来的に郊外に広げられると、スギ薬局のビジネスモデルが脅かされるのである。
また、ウエルシアHD(業界1位)とツルハHD(業界2位)の積極的なM&Aの後ろ盾となって、業界の主導権を握ろうとするイオンの戦略も不気味である。
ココカラ、マツキヨ、スギにはどのような狙いがあるのか。コスモス、ウエルシア、ツルハに引き離され、いや応なしに飲みこまれる前に早めに手を打って、業界再編の主役を張ろうとする共通の思惑がある。
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