「売り上げが急速に増えている」「同業他社と比べ利益率が高い」「新事業が好調」――。平成から令和に突入する中で、時代の変化に対応できそうな企業の強さの秘密を、決算書の数字やビジネスモデルを踏まえながら迫る。
暮らし方が目まぐるしく移り変わる中で、ビジネスはどう変わっていくのか。変化を捉えて自社の事業に落とし込むことができる企業が、次の時代にも強みを発揮できるだろう。シェアリングなど、個人が持つ「モノ」の概念を変える仕組みも広がりつつある。
寺田倉庫が2012年に開始したサービス「minikura(ミニクラ)」も、そのような変化を捉えた事業の一つ。これは、専用の箱に詰めた荷物を倉庫で預かり、管理してくれるサービスで、箱を預けるだけなら月200円(税込)から始められる。手軽に持ち物を整理できることから、近年は同様のサービスがいくつも登場し、認知されるようになった。
minikuraの事業規模は、物量ベースで年30%伸びており、現在約1700万アイテムを保管しているという。1人平均3箱を預けている。「モノを預かってほしい」という需要は拡大しているようだ。
minikuraのような“ミニ倉庫”はサービスとして認知された。今後、minikuraはどのように人々の生活に寄り添っていくのか。同事業を担当する専務執行役員の月森正憲氏に、サービスの位置付けや今後の展望を聞いた。
minikuraの利用の流れはシンプルだ。まず専用ボックスを購入し、その中に荷物を入れて宅配便で送るだけ。預けた荷物を1点ずつ写真撮影してくれるコースもある(月250円)。その写真はWeb上のマイページでいつでも確認できる。1点から取り出すことも可能だ。19年3月には、衣類をハンガーにかけた状態で保管する新サービス「minikura Closet」(月450円)を追加するなど、サービスの改良を続けている。
寺田倉庫がminikuraの開発に取り掛かった当時、個人から荷物を預かるサービスは他にもあったが、箱の中身を1点ずつ管理するサービスはなかったという。箱を開けるとなると、破損や紛失のリスクが高くなるからだ。
それでも、寺田倉庫は個人の持ち物を1点ずつ取り扱うサービスの開発に着手した。なぜだろうか。
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