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昭和「ワタミ型」、平成「鳥貴族型」 令和で成功する居酒屋の4条件とは?「脱・総合居酒屋」で月商3倍も(3/5 ページ)

» 2019年06月28日 05時00分 公開
[三ツ井創太郎ITmedia]

月商が3倍になった「劇場型居酒屋」

 名古屋市に本社を構えるイートジョイ・フードサービスが手掛ける「毎日!北海道物産展 ネオ炉端 道南農林水産部」というお店があります。同店は名古屋市を中心に現在3店舗を展開しており、都内やシンガポールへの出店も決まっています。

 同社は総合居酒屋を長年に渡って展開してきました。他の総合居酒屋チェーンと同じく平成後半から売り上げの低迷が続き、いよいよ店舗リニューアルを決意したとのことです。

photo 筆者が注目する劇場型居酒屋「道南農林水産部」

 新しいお店のコンセプトは「北海道物産展×ネオ炉端×食のエンタメ」。単にさまざまな種類の料理やお酒を提供するだけの居酒屋ではなく「食のエンターテイメントを提供する場」として大きくコンセプトを変更しました。

 最高級のウニ「蝦夷バフンうに」を“お客様の目の前で”のりに巻いて提供するメニューや、元気な掛け声と共にお客様が「ストップ!!」というまで、“お客様の目の前で”いくらを注ぎ続ける名物メニュー「いくらごぼれご飯」など、食のエンターテイメントをテーマにしたメニューが同店には多数用意されています。実際にお店に訪れてみると、平日にも関わらず満席状態でした。そして印象的だったのは、他の居酒屋に比べ女性客や若いカップルなどが多いこと。また、スタッフの名物商品の提供パフォーマンスが始まると、多くのお客様が自分のスマホでバシバシと写真や動画を撮り始めます。その光景はまさにエンターテイメント「劇場型居酒屋」といった感じです。

photo いくらを注ぎ続ける名物メニュー「いくらごぼれご飯」

 同社の桜井博教社長にお話を伺うことができました。総合居酒屋から劇場型居酒屋にリニューアルしたことで、月商が500万円から1500万円へと3倍になったそうです。お客様の目の前で最終調理を行うメニューを多数用意することで、お客様がスマホなどでメニューを撮影してくれるようになり、SNSで拡散し、それを見たお客様が次々と来店するという相乗効果が「売り上げ3倍」というV字回復を実現させたそうです。

 最近では同店に限らず、全国でこうしたエンターテインメント性を取り込んだ劇場型居酒屋が話題になってきています。

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