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昭和「ワタミ型」、平成「鳥貴族型」 令和で成功する居酒屋の4条件とは?「脱・総合居酒屋」で月商3倍も(4/5 ページ)

» 2019年06月28日 05時00分 公開
[三ツ井創太郎ITmedia]

令和時代に生き残る「劇場型居酒屋」の4つのポイント

 今回の「毎日!北海道物産展 ネオ炉端 道南農林水産部」の事例から令和時代に生き残る居酒屋の4つのポイントをまとめていきます。

(1): 劇場性

 居酒屋業界の歴史を踏まえてライフサイクルを見ていくと、トレンドは昭和時代=総合化、平成時代=専門化、そして令和時代は劇場化に進んでいくといえます。冒頭にも述べましたが「外食できるだけで満足」という消費者マインドは昭和の時代と共に終わりました。中食業界の台頭や酒離れなども影響し、令和の時代の消費者は「わざわざ外食する理由」を求める傾向がより強くなります。こうしたトレンドを踏まえ、お客様の前で調理を行い、いわゆる“シズル感”を前面に打ち出し、お店のエンターテインメント性や劇場性を打ち出すブランドが増えてきています。

(2): 省人性

 人材不足がより深刻化する令和時代には「省人性」も大きなキーワードとなります。先に述べた「劇場性」と「省人性」は相反する部分がありますが、ここで重要となるのは「人がやる必要がないことは機械にさせ、人にしかできないことは人がやる」という考え方です。つまり、注文のオーダー、調理工程、食材発注などの業務に関してはITや外部サービスをどんどん活用して、今までの「人海戦術」から脱却し、逆に自社の付加価値の部分に人材を集中させていく戦略が重要となります。

(3): 拡散性

 現在の飲食店を繁盛させるためには、インターネット上における拡散性は重要な要素になっています。これはつまりInstagram、Facebook、TwitterといったSNSや、各種口コミグルメサイトなどで「どのように」「どれくらい多くの人に」拡散されるかということです。自社の狙ったターゲットに対してより多く拡散されるためには、当然ながらそのお店のコンセプトや商品へのこだわりやインパクトが重要となります。

(4): 本物性

 そして何よりも大切なのは、そのお店のサービスや商品が「本物」であるかどうかです。SNSなどで一時的に拡散されるお店であっても、一過性のブームで終わってしまっては「生き残る」ことはできません。居酒屋業界は成熟産業であり「ただ単に流行り物の商品を出していれば流行る」というほど簡単な業界ではありません。インターネットやSNSなどでのPR戦略と並行して、QSC(クオリティー=品質、サービス=接客、クレンリネス=清潔)レベルを向上させていく企業努力が必要不可欠になります。

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