クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

メルセデス初のEV「EQC」 航続距離400キロで1080万円(1/2 ページ)

» 2019年07月04日 15時24分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 メルセデス・ベンツ日本は7月4日、電気自動車EQCを発表した。「EQC 400 4MATIC」の価格は1080万円(消費税10%込み)で納車は2020年春。限定モデルの「EQC Editon 1886」は1200万円で今年10月以降から納車を開始する。EQC Editon 1886は、7月18日11時からオンラインで先着順予約を開始する。

ひと目でEQCと分かる独特なフロントマスク

 EQC 400 4MATICはDセグメントクラスのSUV。80kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は400キロメートルを実現した。前後に2つのモーターを備え、出力は408馬力(300kW)となっている。安全支援装備などは、同社最高位モデルのSクラスと同等だ。

 残価設定型ローンに加え、残価差額の精算が不要なクローズドエンド型のリースも用意する。また、国内に提携充電ステーションを2万1000件確保し、1年間無料で利用可能とした。バッテリーは8年間または16万キロの保証付き。メルセデス・ベンツの車両を5年間で5回、無料で貸し出すサービスを提供したり、自宅充電用のユニットを無償提供するほか設置工事費を10万円までサポートしたりするなど、電気自動車ならではの不安に応えた。

メルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長(左)と、EQCのアンバサダーに就任した騎手の武豊氏(右)

 電気自動車ならではの低速トルクを生かし、時速100キロメートルまでの加速は5.1秒。ただし、電力効率性を追求するため、最高時速は180キロに抑えている。

 「フロントには最大の効率を持つモーター、リアのモーターはパワーを重視した。長距離走行など普段はフロントモーターだけを使い、パワーが必要なときにはリアも駆動させる」と、独DaimlerのEQC開発責任者のミヒャエル・ケルツ氏は話す。

約5年をかけて開発してきたEQC(独DaimlerのEQC開発責任者のミヒャエル・ケルツ氏)

 EQCのバッテリーは80kWhと大型だ。同じSUV型のTesla Model Xの100kWhよりは小さいが、40〜62kWhの日産リーフの2倍弱。バッテリーの重さだけで652キロに達するという。衝突時にはバッテリーの発火事故が安全性上重要になるため、衝突テストを繰り返し行い、「最大の安全をバッテリーサイドで確保した」(ケルツ氏)という。

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