埼玉発「ぎょうざの満洲」 消費増税に負けない“独自すぎる”ビジネスモデルに迫る長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)

» 2019年07月09日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

ほぼ全員が注文する焼きギョーザ

 ぎょうざの満洲に来店した客のほぼ全員が注文するという焼きギョーザの値段は220円(税抜き、以下同)と安く、ボリュームもある。創業時は地域住民があっと驚く価格破壊を実践していた。

 「父はギョーザを包むのが下手で、仕方なく1店舗目からギョーザを自動的に包む機械を入れたのです。この機械は当時では珍しかったものでした。そうしたら、時間がかからずにどんどんできてしまって。たくさんつくれるので世間よりずっと安く売ったから、繁盛したのです」(池野谷社長)。

 金子氏は脱サラした当初、牛乳販売店を営んでいたが、町中華の流行に刺激されて3年ほどで中華料理店に商売替えをした。最初は調理ができなかったので、中華のコックを雇った。

 1964年に開業した「満洲里」という創業店は、新所沢の駅から歩いて20分ほどかかる場所にあった。住宅街というよりも畑や原野に囲まれたのどかな場所にあり、出前を取らなければ経営が成り立たなかった。

 出前に行く時間をなんとか削減できないかと考えていたが、ギョーザが売れるようになると、出前を止めてもやっていけるようになった。生ギョーザのテークアウトもその頃から多かった。所沢界わいが武蔵野うどんの産地で、小麦や粉もんを食べる文化に親しんでいたのも、成功要因に挙げられるだろう。埼玉のローカルチェーンとして著名な山田うどんも、所沢市が発祥である。

 「生ギョーザの持ち帰りはウチが流行らせたのではないか」と、池野谷社長ははにかみつつも自慢げに語る。ギョーザが大ヒットしたため、店の屋号も「ぎょうざの満洲」に変更してしまった。

 郊外立地で集客に苦労したため、以降は集客が見込めない限り、駅前を優先して直営で出店を重ねている。

photo 名物の焼きギョーザ

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