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「おとなのジャンプ酒場」開店! 集英社が仕掛ける「居酒屋ビジネス」の勝算「レジェンド編集者」揃い踏み(3/5 ページ)

» 2019年07月17日 05時00分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

勝算はあるのか?

 店内を見渡すと、座席数は50席ほどだった。歌舞伎町という立地で2時間3000円という価格設定では利益率という点で厳しいようにも映る。その疑問をファイブグループの小林克也第一営業本部 本部長にぶつけると、こう説明した。

 「ブランド力のある集英社さんと協働することによって、リピート客の獲得を見込めます。また、オリジナルメニューの開発を通じて自社の技術力やブランド力向上にもつなげられます。お客さんにはぜひ『おとなのジャンプ酒場』の料理を楽しんでいただき、『コラボメニューなのにおいしい』と感じてもらえればうれしく思います」

 この日は、試食会も実施されたが、料理の提供スピードも速く、ボリュームも十分で、味もおいしいと感じた。見た目が少々とっぴな料理であっても、食材の相性や味わいは十分練られたものだった。

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養老乃瀧のアニメコラボ戦術

 こうしたコラボメニュー開発に大手居酒屋チェーンが加わる動きは、実は近年盛んになっている。特に精力的なのが養老乃瀧グループだ。養老乃瀧はこれまで「アイドルマスター」や「モンスターストライク」といったゲーム、「コードギアス」や「異世界居酒屋のぶ」などといったアニメ作品とコラボを続けてきている。いずれも1品1000円未満が中心の価格帯で、他の通年で提供されている料理とクオリティーも変わらないものだ。

 以前、筆者は養老乃瀧に取材した際に、開発を担当した料理長から、作品をとにかく読み込み、登場人物の心情や、その世界観を料理として表現することに腐心したエピソードを聞いた。そこから生み出されるものは紛れもなく「創作」だと思える。その意味では、今回のおとなのジャンプ酒場で出される料理も、『少年ジャンプ』をテーマにした「創作料理」といえるのではないだろうか。

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