多くの国際分散投資では、海外の資産に投資する際に外貨建てとなるため、資産自体の値動きが緩やかでも、為替変動のリスクを負ってしまうという問題がある。ドル建てでは値動きが小さい外国債でも、ドル円の為替レートが変動すると、日本円での価格は大きく上下していた。
3倍3分法ファンドは、債券の運用に先物を使うことで、結果的に為替リスクを大きく減らすことに成功している。先物は、小さな証拠金を元に、将来の価格変動分を利益や損失として受け取る仕組み。この場合、為替変動が影響するのは証拠金と損益分に限られるからだ。
「3倍3分法ファンドの場合、海外先進国株式と海外新興国株式、海外先進国REITの3資産では為替リスクを負っている。これらの資産は円高のときに損失が生じるリスクがある。組み合わせるものとして、為替リスクがない先物を使った債券は重要だ」(有賀氏)
もちろん、レバレッジを使うことのリスクもある。
先物の場合、レバレッジをかけた分の金利に相当する金額はコストとなる。また、先物はそのまま持ち続けられるわけではなく、満期が存在するため、3カ月に一回、新たな先物に買い換える必要がある。ただし、今回の債券先物はいずれも10年ものの各国の国債が対象のため、十分な流動性がある。需給関係で価格が上下することはあるが、買い換えの際の価格差はほぼ起きないと話す。また先物の売買手数料は、現物に比べて非常に安価だ。
またレバレッジをかけた商品は、レバレッジを比率を維持するために、価格が上下を繰り返すと、自然と価値が減ってしまう(減価)という特性もある。
それでも「分散化したポートフォリオでは、(価格が)ジグザグして下がっていくリスクよりも、累積で上がっていく効果のほうが高い」と、有賀氏は過去の値動きに当てはめた分析から有効性を訴える。
最大のリスクは、分散効果が働かず、組み入れている資産すべてが値下がりすることだ。レバレッジにより、値下がりの影響も3倍になるだけでなく、レバレッジにかかるコストもリターンを悪化させる。
ただし日興アセットマネジメントによると、過去186カ月のシミュレーションの中で、株とREIT、そして国債先物のそれぞれの合計が同時に下がった月は17回。そのほかの月では、異なる値動きとなったという過去のデータがある。
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