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» 2019年08月01日 07時00分 公開

中国が握りたい「海底ケーブル」覇権 “ファーウェイ撤退”の本当の狙い世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)

[山田敏弘,ITmedia]

「盗聴」「災害」海底ケーブルのリスク

 ただ海底ケーブルにもリスクはある。例えば、12年に大規模なハリケーンが米東海岸を襲った際には、海底ケーブルが損傷するケースが起き、通信に支障が出た。また06年には、台湾沖で起きた地震と台風によって、8本の海底ケーブルが使えなくなった。それにより、東アジア諸国でデータ通信ができなくなり、修復に数カ月がかかる事態になった。

 海底ケーブルにはさらに別のリスクもある。国際電話などの通信に使われた電話線の時代から、海底を走る通信ケーブルは諜報機関によって盗聴されてきた歴史がある。古くは第二次大戦以降から、米国とソ連が海底ケーブルで盗聴合戦を繰り広げた。

 最近でも、元CIA(中央情報局)で米機密文書を盗み出して暴露したエドワード・スノーデンが、米政府による海底ケーブルを使った情報収集活動を白日の下にさらしている。この監視工作は「アップ・ストリーム」と呼ばれ、海底ケーブルが陸のケーブルとつながる「IXポイント」などを通るデータを大量に抜き取っていた。

 実はこうした米国のスパイ活動が明らかになった際、全てのデータが米国の光ケーブルを通って届いていたブラジルでは、米国からデータを監視されていたことが判明。ブラジルは憤りを隠そうとせず、公然と米国を非難し、その後、米国を通らない独自の海底ケーブルの敷設を発表した。ブラジルからポルトガルなどを結ぶこの海底ケーブルは、20年からサービスを開始するという。

 またこうした国家間の争いに巻き込まれたくない民間のIT大手Googleは、10年から米ロサンゼルスと千葉を結ぶ海底ケーブルや、ロサンゼルスと南米チリを結ぶ海底ケーブルを次々に完成させている。複数のインフラを確保しているのである。

 ここまで説明が長くなったが、こうした海底ケーブルに、中国が誇る企業のファーウェイも参入しているのだ。実際には、ファーウェイの子会社であるファーウェイ・マリーンが海底ケーブル事業を行っている。

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