現在、同社は90件の海底ケーブルを敷設している。本数だけみれば、世界の4分の1に同社が関わったことになる。ただ海底ケーブル業界では本数よりも設置した長さを見るらしく、世界約120万キロのうち、ファーウェイ・マリーンはまだ5万キロほどにすぎない。世界で見ると、NECをはじめ、米サブコムと仏アルカテルの3社が海底ケーブルの9割を担っており、同社はまだまだこれからといったところだ。
もともと、米国がファーウェイを排除した理由は、同社がシェアを広げていた通信機器などがスパイ工作に使われることを懸念したからだった。だがインターネットのインフラ事業を行っているファーウェイ・マリーンについては、今のところ米国もブラックリストには入れていない。
ただ中国は、この海底ケーブルの敷設も、現代版のシルクロード経済圏構想「一帯一路」計画の一部と見ているようで、かなり力を入れてきたという背景がある。そんなことから、米ウォールストリート・ジャーナル紙は19年3月、米高官らがファーウェイ・マリーンを安全保障のリスクだと見ているとするコメントを掲載。いつブラックリストに加えられてもおかしくない緊張感が漂っていた。
そんな米国の様子を見ながら、ファーウェイが最近、先手を打った。
ファーウェイは19年6月、ファーウェイ・マリーンを手放すと発表。代わって、中国・江蘇省に本部を置く江蘇亨通光電(ヘントン社)という企業が引き取ることになるという。すでに米国からの制裁などで望ましくない評判が広く喧伝(けんでん)されているファーウェイが先に冠を手放した形だ。さもないと、まともにビジネスができないと考えたのだろう。
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