コラム
» 2019年08月07日 05時00分 公開

あなたの会社は大丈夫? 『倒産の前兆』を探る(1):格安旅行会社「てるみくらぶ」倒産の裏側に“キックバック依存経営”――多額の粉飾決算、社長らの詐欺 (3/5)

[帝国データバンク 情報部,ITmedia]

破産の前兆は、あちこちに見えていた

 てるみくらぶの破産騒動は、おそらく多くの人が記憶していることだろう。予約数約3万6000件、約9万人の旅行者が、旅行代金を支払ったにもかかわらず、航空券の発券やホテルへの宿泊ができないなどの被害に巻き込まれた。そんな旅行者たちのクレームによって問題が一気に表面化、世間の耳目を大いに集めた。

 当時、さかんに報道された通り、てるみ社は大規模な粉飾決算を行っていた。

 てるみくらぶが作成した16年9月期の決算書において、純資産は約4億5900万円と報告されていた。しかし、実際は「16年9月末時点で約74億円、直近では約125億円の債務超過となる疑いがある」と破産申立書のなかで指摘されている。また、少なくとも14年以降、営業段階から赤字だった可能性が高いことも、財務アドバイザーの調査によって明らかになっている。

 決算書のなかで未払金や前受金を少なく見積もったことは明らかだが、もっとも目立つのは、主にキックバックを計上していたと思われる未収収益を、過大に計上していた可能性が指摘されていることだ。16年9月末時点で計上されている未収収益は約22億円だが、実際は約2億円であり、複数の決算書を持ち合わせることで実態を偽っていた可能性も指摘されている。

 また、不適切な会計処理のほかに関係者内で囁かれていたのは、12年にグループから外れて以降、休眠状態だったとみられるアイ・トランスポート社への約4億円もの貸付金だ。

 黒字化が困難となるなか、てるみくらぶは、キックバックや旅行者からの前払金を運転資金に充てるという自転車操業に陥っていた。赤字が表面化すると金融機関からの借り入れができず、第一種旅行業の認可審査にも支障が出る。そのため、虚偽の決算を続けなければならなかったのかもしれない。もちろん、兆候はあった。業界内では15年9月ごろより支払遅延情報が散見され、相場よりもかなり安く設定されていたツアー料金に、取引先が警戒するようになっていた。

 さらに昨年秋には、現金による前払い(振り込み)を条件としたツアーを開始し、広告やメルマガの量が目に見えて増加したことから、金融機関もてるみくらぶの資金繰りを不安視していたようだ。

phot 倒産件数と負債額の推移=帝国データバンク調べ

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