そもそも、なぜ沖縄だけで使う箸を鹿児島で製造していたのか。田川さんによると「沖縄に竹が少なく、九州でたくさん取れるから」が理由。
だが、数年前からは九州産の竹の入手が難しくなり、中国産を材料にしていた。不良品が多く仕分けに手間がかかる上、価格も年々上昇。箸の値段を上げても釣り合わなかった。田川さんは「最後の方は中西工業さんが損に目をつぶって作ってくれていた」と感謝する。
生産中止を知ってカネナガ商事には注文が相次ぐ。在庫は残りわずか。日差しの厳しい中、「これがないと駄目」と買い求めに来たお年寄りもいたほどだ。
田川さんは今、仕事仲間と、赤黄箸を県内で生産できないか製造所探しに奔走している。「沖縄に欠かせない箸。ピンチをチャンスに変えたい」
稲福政斉・沖縄国際大学非常勤講師(民俗学)の話
赤黄箸は1919年に使用の記録があり、それ以前から使われていたはずだ。現在はウレタン塗装だが、従来は赤は漆で塗り滑り止め、黄色はウコンで染め抗菌の効果があった。もともと竹を削った箸を使っており、商業化に当たりおしゃれな配色を選んだのではないか。中間色を好まない沖縄の人には、紅型のように派手な配色がよく合い広く浸透したのだろう。
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