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» 2019年08月13日 07時00分 公開

内定辞退率の予測データ販売:リクナビ問題が大炎上した真相 “利用者不在”の人材ビジネスに潜む「構造的歪み」とは (2/3)

[服部良祐,ITmedia]

個人情報提供の「同意」、どこまで必要?

 個人情報保護法では、同社のようにユーザーの個人情報を扱う企業が第三者に提供する場合、その利用目的を「できるだけ特定」してユーザーに提示するとともに、第三者提供について同意を得る義務があるとしている。日置弁護士は「(内定辞退率の予測データ提供の合意に関して)適切な説明を学生にしなかったことが炎上につながったのではないか。内定辞退は就活生の人生を左右する問題にもなりかねない情報で、センシティブだ。リクナビを利用しない新卒の就活は日本で現実的にあり得ないというのもあり、学生側がより嫌がっているのだろう」と分析する。

photo リクナビの現在のプライバシーポリシー(同サイトから一部引用)

 ただ、法令や個人情報保護委員会のガイドラインでは、今回のようなサービスのプライバシーポリシーの中で、内定辞退率のような複雑なデータについて、どこまで個人情報の「利用目的」としてユーザーに示せばいいか、さらには同意・不同意を判断可能なだけの具体的な情報の提供とはどのようなものか、詳細に規定していない。日置弁護士は「技術革新が進みビジネスが複雑化する一方、同委員会のガイドラインの記述はプリミティブで、現在のビジネスにマッチしていない。事業者が(自分で)判断してリスクを負っているのが現状」と指摘する。

「運営企業と学生側がルール作りを」

 法律上で手続きが適法かどうかといった問題にとどまらず、こうしたサイトのユーザーが、企業の個人情報利用に納得できるようにするにはどうすればいいか。日置弁護士は「個人情報保護委員会が『ホワイトペーパー(公的機関による報告書)』を出すというやり方もあるが、それだけではないと思う。例えば(人材系企業と)ステークホルダーである学生や大学側が話し合いをして、お互い同意を得られるようなルールを作ってはどうか。企業の個人情報利用に関する仕組みへの理解もユーザー側に浸透する」と提案する。

photo リクナビの公式サイトに掲載された謝罪文(一部、同サイトから引用)

 同じ人材業界からは、「ユーザーと顧客企業、誰のためのサービスだったのか」と、企業側の取るべきスタンスを問う声も出ている。

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