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» 2019年09月04日 15時33分 公開

なぜ利回りがマイナスの日本国債が買われるのか? (1/2)

現在、金利だけでなく、日本国債の利回りもマイナスだ。つまり、買って利息を受け取っても、満期まで持つと損失が出る。なぜこのような債券が売れるのか。背景には、為替ヘッジとベンチマーク運用があった。アクサ・インベストメント・マネージャーズの債券ストラテジスト、木村龍太郎氏に聞いた。

[斎藤健二,ITmedia]

 日本がマイナス金利政策なのは有名だが、実は日本国債の利回りもマイナスになっている。国債の利回りがマイナスということは、買って満期まで持っていると、払った金額よりも受け取れる金額が小さいということだ。

 なぜ利回りがマイナスなのに、日本国債は買われるのか? アクサ・インベストメント・マネージャーズの債券ストラテジスト、木村龍太郎氏に聞いた。

アクサ・インベストメント・マネージャーズの債券ストラテジスト、木村龍太郎氏

為替ヘッジによって、利回りはプラスに

 木村氏は日本国債について、「足元の利回りについては、10年債までマイナス利回りにある」と現状を説明する。一方で、海外から見れば、為替のヘッジを付けることで、利回りがマイナスでも日本国債が魅力的だという。

 ポイントは為替ヘッジにある。投資家が海外の資産を買うときに、相手国の通貨で購入すると、為替の変動によって損失が出たり、利益が出たりする。通常、これを避けるために行うのが為替ヘッジだ。

 一般的に、為替ヘッジを行うと、両通貨の短期金利の差額がコストとなる。売った通貨の金利を払い、買った通貨の金利を受け取るわけだが、日本円を売るとマイナス金利のために、マイナスの金利を払う、つまり金利分を受け取れることになる。

「日本のレポレート(金利から債券貸借料を引いたもの)はマイナス10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)より低い。米国のFFレート(米政策金利)は2〜2.5%のレンジ。約2%の利回り差がある」と木村氏。

 日本の投資家がドル資産を買うときに為替ヘッジを行うと、この金利回り差だけ費用がかかる。しかし、米国の投資家が日本の資産を買うために為替ヘッジを行うと、ヘッジコストがマイナスとなる。つまり、プレミアムとして金利差分を受け取れるわけだ。

 為替ヘッジによる利益が約2%。ここに、10年もの日本国債のマイナス0.25%の利回りを足しても約1.75%のプラスとなる。

 「日本国債の利回りに為替ヘッジのプレミアムを乗せると、1.75%くらいの為替ヘッジ付き日本国債ができあがる。これは現在1.5%の米国債よりも利回りが高い。米国の投資家から見ると、日本の国債のほうがより魅力的な投資対象に見えている」(木村氏)

 これがマイナス金利の日本国債が買われるカラクリだ。

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