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» 2019年09月04日 15時33分 公開

なぜ利回りがマイナスの日本国債が買われるのか?(2/2 ページ)

[斎藤健二,ITmedia]
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バランスシート上の資産デュレーションを一致させる必要性

 しかし、為替ヘッジだけで利益が出るのなら、なぜわざわざマイナス金利が付く日本国債を買う必要があるのだろうか。木村氏は、そこには債券購入側のバランスシート構造を理由として指摘する。

 「購入側の生命保険会社や銀行は、バランスシートの負債側に、販売した保険や定期預金を計上している。これらのデュレーションと同じくらいの債券を、資産側にも持たなければならない」(木村氏)

 国債のように満期までに一定の年月がある資産では、満期までの期間のことをデュレーションと呼ぶ。債券のような資産では、金利の変動によって価格が変動し、変動度合いはデュレーションによって変化する。

 例えば金利が1%になったとき、既存の利回り3%の債券の価格は上昇する。新規で利回り1%の債券を購入するなら、既存の3%利回りの債券を買ったほうが利益が大きい。つまり、両者の利益が一致するように価格が調整されるわけだ。このとき、3%の利回りを受け取れる期間が長いほど、その価値が大きいことになる。そのため、デュレーション(残存期間)が長いほど、高く評価される。

 金利が上昇したときは、この逆のことが起こり、デュレーションが長いほど、価格は低下する。

 債券投資家にとってみると、負債側の保険や定期預金と一致するようなデュレーションを持った商品を、資産側にも持つことで、金利変化によってバランスシートが歪むことを回避できる。

 また、債券に投資する機関投資家には、利回りの状況に関わらず、購入して保有しなければならない状況にある投資家も多い。機関投資家は絶対的なリターンではなく、株価指数や債券価格指数をベンチマークとして、そこに連動した成績を求められる場合があるからだ。「ベンチマーク運用であるがゆえに持たなければならない」(木村氏)のも、日本国債が買われる理由になっている。

「少しでも利回りがあるところに向かう」

 政策金利がマイナスになっているのは日本だけではない。欧州では先行してマイナス金利を導入しており、各国で金利の低下が止まらない状況だ。「前回の金融危機から、各国の中央銀行が量的緩和という形で資金を供給してきた。結果、利回りが下がってしまった。現在は経済の成長源泉が見当たらない。マネーはあふれており、少しでも利回りがあるところに向かっている」(木村氏)

 そうした背景から、日本以外でも国債利回りはマイナスに突入している。「先進国の中で、格付けでみた場合に高い国では、全部の年限がマイナスになっている」(木村氏)

 ただし利回りがマイナスであっても債券購入が損な投資とは限らない。先の金利と債券価格の関係から、金利が動けば債券価格も動くからだ。「マイナス金利からさらに金利が下がれば、債券価格はさらに上昇する。そこにリターンが生まれる」(木村氏)

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