日韓関係悪化でも… サムスンが日本企業と組んで開発する「絶対安全なスマホ」世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)

» 2019年09月19日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

便利になるスマホ、高まる危険性

 最近では、スマホにはありとあらゆる個人情報が蓄積されている。日々の行動から、家族や友人、恋人とのコミュニケーション、買い物の内容、会社や取引先とのやりとり、銀行の口座情報など、挙げるとキリがないほどだ。もちろん全てをスマホなどで一括管理できれば便利で効率的だが、全てスマホから取り出せると考えると、少し気味悪いと感じなくもない。

 少し前に、米国のあるセキュリティ会社幹部が、筆者にこんなことを言っていた。「銀行強盗も空き巣も、近い将来は無くなるかもね。スマホやPCにおカネも重要書類も全て入っている感覚で、そこで出し入れすればいい時代だから。カード決済やスマホ決済がこれまで以上に普及すると、人の生活など全ての情報が手元に集約されてしまう。便利だけど、とても危険だよ」

 つまり、スマホに侵入されてしまえば、私たちは丸裸になってしまうだけでなく、何もかもを失ってしまう可能性すらある。しかも、私たちはスマホなどをあちこちに持ち歩いて、公共のWi-Fiなど、さまざまな通信に乗せてやりとりをするのだから、危険極まりない。また最近、スマホのアプリからマルウェア(悪意ある不正プログラム)に感染し、乗っ取られるようなケースも聞く。今後、さらにスマホが便利になるにつれ、外部から攻略されるリスクは高まってしまう。

 現実にいま、スマホを狙ったサイバー攻撃が激増している。イスラエルのサイバーセキュリティ企業チェック・ポイントによれば、2019年の前半だけを見ても、前年比で50%もスマホへのサイバー攻撃が増加しているという。その主な原因は、モバイルバンキングなど金融取引をスマホでやる人が激増しているためで、金銭目的で狙われるケースが多いらしい。

 しかもその攻撃レベルは驚くほど進化している。例えば、通貨換算アプリやバッテリー節約アプリなど害のないようなものに偽装している不正アプリも報告されている。その不正アプリは、スマホの金融取引でログインする際の数列をユーザーの知らないうちに記録したり、スクリーンショットを撮ったりするなどしてログイン情報を盗む。かなり巧妙だ。

 「比較的安全」といわれてきたiPhoneすら、安心できないという話も出ている。先日米国で、iOSの純正メッセージングアプリであるiMessageで、メッセージを受信するだけでハッキングされてしまう欠陥が発見されたという話がニュースになっていた。すでにアップルは対策済みだと言うが、そうした脆弱性はまだ存在しているとの声もある。

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