「実際に神社やお寺に足を運んでみると、重要文化財があったり、珍しい仏像があったりと、とても魅力があることに気付きます。地域に根付く神社やお寺の歴史を知って、拝んで帰る。現在はそういった習慣も少なくなってしまいましたが、それが本来の醍醐味なのでは」と佐藤さんは話す。金の御朱印が、地域を知ってもらうきっかけになるという。
8月から取り組みに参加した、岐阜市の護国之寺(ごこくしじ)も、隠れた魅力を持ったお寺だ。岐阜市内唯一の国宝「金銅獅子唐草文鉢」を所蔵している。1300年前、奈良時代に作られた「こがねのお鉢」だ。
護国之寺の副住職夫妻、廣瀬良倫さんと有香さんは「岐阜をもっと盛り上げたいと思い、(金の御朱印に)賛同しました」と口をそろえる。これまで積極的に国宝を宣伝してこなかったことから「最初は断った」というが、地域活性化につながること、そして国宝にちなんだ金の御朱印は他になかったことから、参加を決めた。
御朱印は、授与する神社や寺によって個性が表れる。護国之寺では、国宝のお鉢をあしらった金の御朱印を考案。有香さんが「お鉢の写真を模写してデザインした」という。お鉢は文様に大きな特徴がある。獅子、唐草、雲などが非常に細かく刻まれており、これをデザインした御朱印は、目を凝らして見入ってしまうほどの美しさだ。
7月にプレ開催として試行したところ、参拝者から「岐阜に国宝がある寺があるなんて知らなかった」「(お鉢と縁のある)奈良から来た」などという声があったという。良倫さんは「全国の人、そして地元の人にも、岐阜の隠れた魅力を知ってもらうきっかけになれば」と期待を寄せる。
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