オーダースーツで3年連続200%成長を続けるFABRIC TOKYO 大企業キラーの裏に「D2C」モデルリピート率は業界平均の1.5倍(3/3 ページ)

» 2019年09月27日 10時00分 公開
[鬼頭勇大ITmedia]
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働き方、環境にも配慮

 サブスクリプションの導入以外にも、RaaSとしてさまざまな業務を展開していく。

 10月には「スマートファクトリー」として、縫製工場のIT化を開始予定。昨今、アパレル事業所の減少や、ノウハウの継承不足などにより「過酷な状況」(森氏)にある縫製工場。IT化やデータの可視化を通して、こうした状況を改善する。ユーザーへ商品の製造プロセスを「見える化」することにより、「今、腕の部分を縫っています」「商品を発送しました」などの通知を行うことを想定。「着る方は愛着が湧くし、作り手としても『どんな人が着ているのか』が分かるとモチベーションが向上するはず」と期待を込める。また、納期の短縮効果も見込んでいる。

 現時点では生産ラインの一部をIT化しているが、ゆくゆくは工場全体にまで拡大する。最終的には、他の工場へのノウハウ提供といったB2B展開もにらんでいる。

工場をIT化、見える化

 環境問題にも意識が向いている。華々しいアパレル業界の裏では、環境へさまざまな悪影響が及んでいる。同社の発表によると、全世界のアパレル業界において、年間9200万トンの衣類が廃棄されているという。日本だけを切り取っても、着数にして33億着が廃棄されている現状だ。

 同社では9月26日から、店舗での洋服の回収を開始。自社、他社の商品を問わず受け付け、リサイクルする。20年にはリサイクルした素材で作ったポリエステル商品の販売を目指している。最終的には、全ての商品をサステナブルな素材で作ることを目標に掲げる。

環境に悪い?アパレル業界

 森氏は「弊社のメインユーザーである男性は、ブランドの乗り換えも少ない傾向にある。ビジネスウェアも、トレンドの影響が少ないジャンル。『売って終わり』ではなく、ユーザーとの関係構築を大事にし、10〜30年スパンでつながりを持っていきたい」と話す。20年中には、現在16ある国内店舗を30店にまで増やすだけでなく、海外への出店も予定している。4年連続の200%成長も目標に掲げており、RaaSの成功モデルとなるだろうか。

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