フリマアプリも高齢化? 2年で30倍に増えたシニアユーザー 見えてきた「意外」な利用方法2年でユーザー数が30倍に(1/2 ページ)

» 2019年09月25日 16時00分 公開
[鬼頭勇大ITmedia]

 今、フリマアプリが新たなユーザー層の取り込みを進めている。それが「シニア」だ。メルカリを中心に、主に若年層の女性が利用しているイメージのあるフリマアプリだが、どういった変化が起こっているのだろうか。

 楽天が展開する「ラクマ」では、60代〜90代のシニアユーザーの新規登録者数が2016年から18年にかけて、約30倍にも増えている。伸び率の最も高かった70代に絞ると、およそ50倍。90代でも28.5倍と、猛烈な勢いでシニアユーザーが増えている状況だ。

 こうした状況を生かそうと、同社はシニア向け雑誌を手掛けるハルメク(東京都新宿区)とタッグを組み、ラクマのセミナーを企画。「スマホで不用品をすっきり フリマアプリ講座」と称し、前後編全2回のプログラムを実施する。

 筆者が参加した前編では、フリマアプリの概略からアプリのインストール、楽天への会員登録、また商品の探し方や具体的な出品の方法までがレクチャーされた。後編では、商品が売れた後の手続きなどを教えていくという。参加者はアクセサリーや洋服など「出品したいもの」を各自1、2点持参。その場で実際に出品し、中には出品からわずか数秒で売れた人もいた。

スタッフと一緒に出品までを行った

高まるシニアのITリテラシー

 セミナーの参加者は50代以上の女性限定で、定員30名。全員がフリマアプリを使ったことのない「未経験者」だったが、ITに関するリテラシーは高い。会場はほぼ満席状態で、多くの参加者がいわゆる「ケータイ」ではなく、iPhoneやAndroidスマホを駆使。ある参加者に話を聞いたところ、「普段スマホは家族との連絡や写真撮影、インターネット検索などに使っている」という。一方で「お金の絡むサービスは何となく怖いので使ったことがなかった」とのこと。今回のセミナーに関しては「フリマアプリにはもともと興味があった。その一方でなかなか1歩目を踏み出すことができなかったので良いきっかけ」と話す。このように、多くの人が子どもや孫に「持たされた」のではなく、日常生活でスマホを使いこなしている。

 実際に、メルカリが3月に発表した「60代以上のフリマアプリ利用実態」に関する調査では、60代以上のフリマアプリユーザーの61.7%が「インターネットやWEBサービスを使いこなしている」と回答。20代における同回答は61.4%であり、シニアのITリテラシーは20代と同等にまで高まっているともいえる。

出品する商品を撮影中

 シニア向けのセミナーは、メルカリも開催している。メルカリでは、17年から18年にかけて50代以上のユーザーがおよそ60%増加。中でも「終活・生前整理」というキーワードでの出品が増えている。そこで、近畿日本ツーリストグループとタッグを結成。9月に、シニア人気が高い「クラブツーリズム」が開催するイベント内でメルカリ教室を開催したところ、定員を上回る数の応募があった。急きょ教室を増設するとともに、10月以降も定期的に教室を開催するという。

 

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