セダンが売れない。一部の新興国を除いてすでに世界的な潮流になっているが、最初にセダンの没落が始まったのは多分日本だろう。ファミリーカーのど真ん中だったトヨタのコロナや日産のブルーバードに、取って代わったのはミニバンだ。
1980年代初頭に、日産プレーリーや三菱シャリオを皮切りに多人数乗りの乗用専用モデルは登場した。米国でもほぼ同時期にクライスラーのボイジャーが誕生している。
70年代からトヨタのライトエースやタウンエース、日産のバネットといった、商用車を乗用登録するタイプのミニバンは存在し、時代とともにトリムも豪華になっていったが、乗り心地の洗練などに課題を残していた。
96年にホンダのステップワゴンが登場して、乗用専用プラットフォームのミニバン時代が本格的に始まった。2000年代に入るとノア/ヴォクシーやセレナが追随して、セダンは駆逐されていったのだ。
米国はマーケットそのものが日本の3倍以上あるので、売れ行きが落ちたといっても、セダン需要の実数はそれなりにあったのだが、ここへきて米国自動車メーカー各社がセダンから撤退するほどの状況に至っている。
ミニバンシフトで先行した日米両国で共通するのは、ユーザーが超高速域を必要としないことだ。ドイツには速度無制限のアウトバーンがあり、合法的に時速200キロ巡航が行われているし、その他の欧州諸国でも追越車線を違法速度でぶっ飛ばしていくクルマは少なくない。
そういう超高速域での運動性能を確保するためには、重心の高さを上げたくない。その領域では、性能と居住性をバランスさせられるクルマはセダンしかなかったから、欧州では長くセダンが主流だった。
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