昨日、日本のシビアな現実を思い知らされるようなニュースがあった。出生数が90万人割れすることが確実となっていて、これは推計よりも早いペースだというのだ。
いろいろ文句はあるだろうが、この十数年、日本が官民をあげて少子化対策に取り組んできたのはまぎれもない事実だ。行政も企業も、働くママを応援だ、子育て支援だなどという施策を行っており、十数年前に比べれば格段に充実をしている。
しかし、それをやり続けた結果がこれだ。多くの税金を投入して、マスコミがどんなに「夫も育児参加せよ」「子どもはかわいいぞ」とあおっても、出生数急減にブレーキをかけられない。焼け石に水的な「対症療法」に過ぎなかったというわけだ。
これまでのやり方だけを続けていても事態は悪化する一方だということは、環境整備だけではなく、若い人たちの所得をガツンと上げて、出産や育児へのハードルを下げていくしかない。要するに、先進国の中でダントツに賃金が低く、唯一経済成長もしておらず、デフレが続く日本経済をどうにかして活性化させるという「根治治療」に切り替えるしかないのだ。
「それができりゃ苦労ないよ」とあきらめムードに包まれる人も多いかもしれないが、実は今、そんな「日本病」に対して有効なのではないかと期待されている「治療法」がある。
「中小企業改革」だ。
これは、政府の観光戦略のキーマンとして知られる、デービッド・アトキンソン氏が、新著『国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』(講談社α新書)の中で提言している改革で、具体的な手法というのは、この10月に引き上げになった最低賃金をさらに年5%ずつあげていく、というものだ。
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