髪の毛1本で病気を発見? 日本発「毛髪診断」が秘める可能性世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)

» 2019年10月10日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]
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日本発、夢のプロジェクトに参加できる

 確かに、現在の日本は高齢化が著しく、医療費も今後膨らむ一方だ。高齢社会白書(2019年)によれば、2018年の高齢化率(65歳以上が総人口に占める割合)は28.1%で、2065年には38.4%に上昇すると見られている。これまで経験したことのない超高齢社会を迎え、正確な健康診断やビッグデータなどによって健康状態をチェックでき、今以上に病気を適切に予防できるようになれば、医療費も抑えられるだろう。そして、セーブできた医療費は、本当に助けが必要な重病患者などへの医療費として使えるようになる。

 2020年には社会実装を目指しているという、この画期的で夢のあるプロジェクトだが、実は現在、私たち個人もそのプロジェクトに「参加」でき、研究の発展に貢献できる。毛髪診断コンソーシアムのWebサイトによれば、「毛髪に含まれる健康指標や疾患マーカー探索とビッグデータの構築に向けて、広く国民のみなさまのご協力が必要です。国民のみなさまの健康維持や未病化への貢献に向けて、ボランティアとして協力いただける方々の参加を今後求めていきます」という。

 毛髪診断コンソーシアムは、ビッグデータに組み込むデータ、すなわち日本人の毛髪を8月1日から募集している。

 ここのところ、経済分野などで日本は元気がないという話もよく耳にする。世界を驚かせるような日本発のプロジェクトに、日本人として参加してみてはいかがだろうか。

 【注】毛髪診断コンソーシアムによれば、無料で送られてくる「毛髪採取キット」に髪を入れて送り返す必要はあるが、費用は一切かからない。公式サイトでは「ご負担いただく費用はありません。毛髪送付時の送料につきましても、返送用封筒をお使いいただきますので、送料の負担もございません」と説明している。(参考:毛髪診断コンソーシアム

筆者プロフィール:

山田敏弘

 元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。最新刊は『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。


お知らせ

新刊が発売になりました!

 CIA(米中央情報局)で活躍した日本人女性の軌跡を追った、山田氏の新刊『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)が8月21日に全国で発売になりました。

 30年以上もの間、日本の歴史の裏舞台で暗躍してきたスパイを養成しながら、自らも工作に関与、引退時にはCIAから栄誉あるメダルを授与され、表彰を受けるほどの評価と実績を残していたキヨ・ヤマダ。その事実は、私たちの見ている世界からは見えないところに封印されていた――。

 本書は、そんな日本人女性、キヨ・ヤマダの数奇な人生に迫った一冊です。

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