中国人訪日客は「きのこの山」より断然「たけのこの里」派!? 日本スイーツ人気の謎新連載・中国マーケティング最前線(2/3 ページ)

» 2019年10月17日 08時00分 公開
[服部良祐ITmedia]

人気の裏に「松潤のCM」!?

 日本では人気を2分しているように言われがちな「きのこ・たけのこ」論争だが、中国人訪日客の間ではたけのこ派が圧倒的優位に見えるのはなぜか。明治広報部は「きのこの山に類似した商品を韓国の企業が販売していることもあり、たけのこの里の方がより日本の独自性が高いと思われているのではないか」とみる。

 一方、トレンドExpressが運営するオウンドメディアで編集長を務め、中国市場分析に詳しい森下智史さんは「あくまでウェイボーを分析した上での推測」と前置きしつつ「たけのこの里の方がチョコレートの量が多いように見えるからでは」とみる。ただ、やはり「たけのこ一強」の真相は完全には突き止めづらいようだ。

 ただ、決して観光地の土産や日本で今流行しているスイーツというわけでもない「たけのこの里」が中国人客に人気の理由については、「日本国内で流れている『CM』の影響ではないか」と分析する。

 森下さんによると、「嵐」の松本潤さんを「新きのこ党党首に起用」などと打ち出したりした明治の最近のCMが、ウェイボーでかなり話題になっているという。ただ、これらは基本的には日本国内向けにTVやWebで流されているもの。これらのCM画像や動画が中国のSNS上で出回った結果、知名度アップにつながった可能性が考えられるという。

photo ウェイボーで出回っている「きのこ・たけのこ」の書き込み(ウェイボーより引用)

 実際、たけのこの里に絞ってウェイボーの「日本で買った飲食品」の書き込み数をグラフ化すると、19年に入って急増している。

photo ウェイボー上の「日本で買った飲食品」の書き込み数のうち、「たけのこの里」の推移(トレンドExpress調べ、クリックで拡大)

 森下さんは「日本産の(日本国内向け)CMのようなクリエイティブ(創作物)は、中国でも人気が高い。『きのこの山とたけのこの里が(日本の)消費者の間で論争になっている』などと説明した日本のCMが、中国の人には奇妙で面白く映っているようだ」と分析する。そうしてSNS上でこのCMを知った中国人が、訪日時に店頭で商品を手に取るようになっている、とみる。

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