同社にはエンジニアがたったの50人しかいない。それ以外にはさらに50人ほどの社員がいるだけで、マーケティングやPRの担当者は存在しないという。100人ほどで、世界最大のメッセージングアプリを運営しているのである。
14年には、その勢いに脅威を感じたFacebookが、190億ドルというテック系では歴史的な金額で買収した。この買収は、ライバルを手に入れることで独占的な地位に立とうとしているとして今も批判の材料になっている。
WhatsAppの特徴である安全性という意味では、同アプリの暗号化はパワフルとされている。そんなことから、世界でも少なくとも12カ国が、WhatsAppの使用を禁じている。中国やイラン、バングラデシュ、北朝鮮、シリア、UAE(アラブ首長国連邦)などである。強権的な国が、国民をコントロールできないために禁止にしているのではないかとの指摘もある。
そんなWhatsAppが10月29日、イスラエルのNSOを訴えたというのである。その理由は、スパイウェアのシステムを販売しているNSOが、クライアントのために世界各地の1400人のアカウントにサイバー攻撃で不正に入り込んだというものだ。訴状によれば、親会社のFacebookは、「WhatsAppの端末間の暗号を破ることができなかったため、被告のNSOはメッセージングや他のコミュニケーションのツールにアクセスするために、標的のデバイス(スマホなど)のロックを解除した後で埋め込むためのマルウェア(不正プログラム)を開発した」としてこう指摘している。
「NSOはWhatsAppのアプリをリバースエンジニア(プログラムを解体・解析)し、WhatsApp側のサーバ上で、標的のデバイスに気付かれないように悪意あるコードを送り込むために、偽のネットワークにつなげるようにできるプログラムを開発した」
要するに、アプリ自体は暗号化を解除できないので、アプリが行う通信に入ってマルウェアを送り込み、実際にNSOのクライアントから監視されていた人たちがいるということだ。
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