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» 2019年11月18日 07時00分 公開

名古屋めしビジネス「勝ち」の理由:人気なのに「地元から出ない」名古屋めしの名店 共通点は“売り上げ構造” (2/4)

[大竹敏之,ITmedia]

手打ち麺にこだわり自社生産 みそ煮込みうどん「山本屋本店」

 内外の知名度や浸透度では、みそ煮込みうどん専門店「山本屋本店」も負けてはいない。同社も、商品のクオリティーを守ることを理由に、地元中心の店舗展開を図っている。店舗は名古屋市内を中心に14店。この規模のうどん専門店としては珍しく手打ち麺を自社生産している。近年は市内中心部の商業施設での新規出店も目立つが、多店舗化しても手打ち麺を安定して提供できるように、3年前には名古屋市内にセントラルキッチンを新設した。

山本屋本店のみそ煮込うどんは自家製漬物付きで1140円(JR名古屋駅店、価格は店舗により一部異なる)。独特の歯ごたえのある麺と濃厚なみその風味が特徴

 「セントラルキッチン、自社物流で毎日何回も打ち立ての麺を運ぶ。出店は鮮度を保てる範囲内の地域に限り、全て地域密着の直営店運営をしています」と同社担当者。

 市内中心部の名駅、栄エリアでは観光客が全体の3〜4割。それでも、その他の店舗は地元のリピーターが中心だという。

2017年12月にJR名古屋駅構内のグルメストリート「なごやうまいもん通り」に出店

 「家族の日々の団らんの場として、親子代々のご利用など長く親しんでくれているお客さまが多い。普段使いからごちそうとしての食事、ビジネスの接待、他県からのご友人をアテンドするなど、さまざまなシーンでご活用いただいている。正月・お盆、季節の連休には観光客の他に帰省客のご利用も非常に多い」という幅広い活用のされ方は、まさに地域で愛されている老舗ならではだ。

名古屋市中村区にあるセントラルキッチン。打っている麺は70人前。その日のうちに店舗へ届けて提供する

出店ペース加速も、手綱引き締める「宮きしめん」

 名古屋めしの中で全国的に最もポピュラーな料理がきしめんだ。なかでも外食シーンの中で伸び盛りなのが「宮きしめん」である(経営は宮商事)。創業は大正12年(1923年)。もともとは土産、ギフト用商品が主力のメーカーだが、先のあつた蓬莱軒同様、熱田神宮の境内に食堂を構えていることで、地元では古くから親しまれている。

 飲食店はこの神宮境内の食堂を含めて現在9店舗。2002年にジャズドリーム長島店(三重県長島町)をオープンしたのを皮切りに中部国際空港(愛知県常滑市)、御在所サービスエリア(三重県四日市市)、土岐プレミアムアウトレット(岐阜県土岐市)、そして名古屋市内のKITTE名古屋、グローバルゲートと大型商業施設への出店が相次ぎ、今では飲食部門の売り上げが全体の7割を占め、物販との売り上げ比率が逆転している。

 このような収益構造の変化は、名古屋めし人気がもたらしたものと言っても過言ではない。

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