みそカツ、手羽先、ひつまぶしなど、さまざまな個性で全国に知れわたる「名古屋めし」。その文化的背景は奥深い。名古屋めしの看板メニューを引っ提げて全国区となった企業も多い。全国の“壁”を越えた企業にはどのような戦略があるのか。その強さに迫る。
外食ビジネスにおける「名古屋めし」の注目度が年々高まっている。地元では観光客向けの最重要コンテンツとして行政もPRに力を入れ、有名店には連日行列ができる。全国に店舗を広げる企業もあり、それぞれ他の地域でも人気を獲得している。
名古屋めし企業はなぜ強いのか? 当連載では、第1回で全国展開に積極的な企業を、第2回で地元密着を貫く企業を、第3回でこのシーンに割って入らんとする新興企業にそれぞれフォーカスすることで、名古屋めし企業の強さの源はどこにあるのかを分析し、今後の展望を探っていく。
本論に入る前に、まず名古屋めしの基礎知識について紹介しておこう。名古屋めしとは、名古屋および周辺地域で親しまれている郷土食の総称。みそ煮込みうどん、みそカツ、ひつまぶし、手羽先、きしめん、あんかけスパゲティ、台湾ラーメン、鉄板スパゲティ、みそおでん、小倉トーストなどが代表的な品々。非常にバラエティ豊かで、かつ、もともとは観光客向けにつくられたものではなく、地元で広く親しまれてきたものばかりというのが特徴だ。
「名古屋めし」という言葉が生まれたのは2001年。名古屋の外食グループ、ゼットンが東京1号店を出した際、みそ串カツや石焼ひつまぶしといった名古屋特有の料理を採用し、それを紹介するキーワードとして、同社の稲本健一社長(当時)が情報誌の取材に答えたのがきっかけといわれている。
その後、みそカツの「矢場とん」、手羽先の「世界の山ちゃん」、あんかけスパゲティの「パスタ・デ・ココ」(カレーハウスCoCo壱番屋系列)などが相次いで東京に進出して外食シーンのムーブメントに。さらに愛知万博(05年)以降の名古屋の観光客の増加、B級ご当地グルメの全国的なブームなども追い風となって、名古屋めしはご当地グルメの代表格として存在感を高めることとなった。
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