「変」の哲学で成長 名古屋発「世界の山ちゃん」の絶妙な名付けと看板の戦略長浜淳之介のトレンドアンテナ:(1/6 ページ)

» 2019年04月16日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 名古屋名物の手羽先をウリとする居酒屋チェーンとして名高い「世界の山ちゃん」。

 看板商品であるこしょうを効かせた甘辛い「幻の手羽先」の魅力もあり、地元の名古屋と東京を中心に店舗を増やしてきた。愛知県34店(テークアウト専門4店)、東京都19店、神奈川県3店、埼玉県3店、岐阜県2店、三重県1店、大阪府5店、京都府2店、広島県2店、熊本県1店、北海道1店と、国内72店を展開。そのうち、元従業員がのれん分けで独立開業したFC(フランチャイズ)店が6店ある。

 海外にも香港2店、タイ3店、台湾2店、マレーシア2店の計9店を出店していて、アジア圏で地歩を固めつつある。「世界の山ちゃん」とは、ずいぶんと大それた屋号だと思っていたら、いつの間にか本当に世界に進出していた。

 今回は世界の山ちゃんのユニークな発展の軌跡を追って行く。

photo インパクトのある店舗外観

「変」の哲学とは?

 最近は、名古屋を訪れた人の観光コースとなっており、インバウンドを含めて、団体客が大挙して訪れる光景がよく見られる。

 主力商品の幻の手羽先はビールとよく合う。1人前(5本)が450円(税抜)という大衆的な価格と相まって、サラリーマンに親しまれている。そこに、観光客が加わって多くのお店は賑わっている。

 実際、名古屋に行くと繁華街のあちらこちらに、デカデカと創業者の山本重雄氏をモチーフにした、「鳥男」のキャラクターが描かれた同店の看板を目にする。初めて見た人は「“世界の”って何だろう?」と、思わず足を止めてしまうだろう。幻の手羽先も「何がいったい“幻”なのか?」と、気になってしまう。

 実は、「“世界の”って何だろう?」「何が“幻”なのか?」と、人々に印象付けるのが世界の山ちゃんの戦略。経営するエスワイフード(名古屋市)は「立派な変人たれ」を社是としている。

 同社の目指す「変」には、「ユニークで面白い事」と「変化していく事」の2つの意味がある。そして、その「変」の哲学が凝縮されているのが、いっぷう変った屋号と主力商品の名称なのである。

photo 幻の手羽先5人前
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