かつてゲテモノ扱いされた「名古屋めし」 逆境を乗り越えた“強さ”とは新連載・名古屋めしビジネス「勝ち」の理由(4/4 ページ)

» 2019年10月28日 07時00分 公開
[大竹敏之ITmedia]
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オール名古屋でスクラムを組んでいく

 このような内外の障壁を乗り越えてきたことこそが、名古屋めし企業の強みといえる。また、名古屋の外食企業は横のつながりが強いといわれ、今後それを他地方でも発揮できるとさらにビジネスチャンスが広がっていく可能性もある。

 「いろいろなジャンルの名古屋めしのブランドが一堂に会した『リトル・ナゴヤ』のような形で進出した方が、名古屋めしの多彩さをアピールできるし、お客さんにとっては選ぶ楽しみがある。オペレーションの面で各社の負担が軽減されるメリットもある。名古屋めしの企業は外食産業の中では中小クラスなので、大手に対抗するには手を取り合うべき」と矢場とん・鈴木社長。

 地元ではこのような取り組みは既に事例があり、名古屋城近くの観光スポット「金シャチ横丁」、人気店を集めた「名古屋丸八食堂」(愛知県豊田市など)がそれにあたる。他県でもこうした出店が実現すれば、名古屋めしのブランド力がいっそう高まることが期待される。

 単体でも個性と強さを発揮している名古屋めしビジネス。オール名古屋でスクラムを組んでいけば、今後いっそう他エリアでの勝機は広がりそうだ。

著者プロフィール

大竹敏之

 名古屋在住の自称「名古屋ネタライター」。新聞、雑誌、Webなどに名古屋情報を発信する。『名古屋の喫茶店完全版』『名古屋めし』(リベラル社)、『なごやじまん』(ぴあ)など、名古屋の食や文化に関する著作多数。

 最新刊『名古屋の酒場』(リベラル社)が11月中旬発行予定。


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