レバレッジ付き投資信託続々 機械学習も組み合わせた「米国分散投資戦略ファンド」(2/3 ページ)

» 2019年11月18日 10時48分 公開
[斎藤健二ITmedia]

基本的にすべて先物での運用

 レバレッジ手法には先物を使う。すべての資産を先物で持つことでレバレッジを実現し、また流動性を確保した。為替ヘッジにも、先物を使う効果が大きいと松永氏は言う。「現物資産を持つと為替リスクがかかってしまう。先物は、証拠金と損益部分だけをヘッジするだけでいい」

 一般的には、ヘッジコストは為替間の金利差で決まり、先物でも金利差分が指数の低下という形で実質的なコストとなるが、「現在、需給要因から金利差とヘッジコストの差が大きく、理論的なものよりヘッジコストが大きい」(松永氏)ことから、先物のほうが有利だと話す。

開発を担当した松永拓真シニアマネージャー

 米国分散投資戦略ファンドでは、1倍、3倍、5倍とレバレッジによって異なるファンドを提供するが、実際の運用は5倍のレバレッジをかけた外国投資信託証券の1本だ。これをベースとし、実質的に現金となる円短期公社債を組み込むことで、レバレッジ比率を調整する。そのまま使うのが5倍のファンド、資金の6割を外国投資信託証券にあて実質的にレバレッジを下げるのが3倍、資金の2割だけをあてるのが1倍のファンドとなる。

米国分散投資戦略ファンドの、レバレッジ1倍、3倍、5倍の平均資産構成比(=三井住友DS資料より)

 レバレッジ比率によらず運用は一本となり、「3種類を用意することで規模を拡大し、コストを抑えられる」(松永氏)ことが目的だ。

 購入者側から見ると、投資想定資金の6割を使って5倍のファンドを買い、4割を現金で手元に残しておけば、実質的に3倍のファンドを買ったのと同様となる。このような仕組みのため、信託報酬も1倍の場合1.3225%程度、3倍は1.6025%程度、5倍は1.8825%程度と差を付けている。

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