中国が着手した「6G」って何? 5Gから10年先の“覇権”を巡る思惑世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)

» 2019年11月21日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

ハッタリか本気か、中国が「6G」時代をリードする?

 中国の科学技術部が本格的に6Gの研究・開発を開始すると発表したのは11月6日。そのために、2つの組織が立ち上げられるという。1つは6Gの研究を推進することに責任を負う政府系の関連機関による組織。国を挙げたバックアップ体制を取り仕切ることになると見られている。

 もう1つは、37の大学や研究機関、企業からなる組織で、6Gの技術的な部門を担うという。中国科学技術部は、「まだ初期の段階で、技術的な道筋も明確ではない」と述べている。とにかく、どんな可能性があるのかについて検討を始めるといったところのようだ。

 ちなみに米国の天敵となっているファーウェイも、6Gの開発に乗り出しているとの話もある。とにかく、ファーウェイやZTEなど、5Gで米国から激しい妨害を受けている状況を教訓にして、6Gでは有無を言わさず覇権を握るための包括的な戦略を考えてくることだろう。

 筆者が話をした米国の専門家によれば、「中国は6Gで、5Gの時と同じ轍(てつ)を踏まないという決意を見せたということだ。実は、少し前から6Gについて話は出ていた。でも今回は、中国らしく、大げさにアピールしているだけではないか」と語っている。ただ現在の中国の技術力を考えると、ハッタリだろうと片付けていいのかとも感じる。西側諸国やその同盟国などはうかうかしていられないのではないか。

ファーウェイが5G開発で妨害を受けたことを教訓に、6G開発に乗り出している(写真:ロイター)

 移動通信は10年スパンで新たな世代に変わってきた経緯がある。第1世代(1980年代〜)では自動車電話など、移動しながらの電話が可能になった。第2世代(1990年代〜)では通信がデジタル化され、誰でも携帯電話が持てるようになった。テキスト(文字)を送ることが可能になったのも第2世代からだ。第3世代(2000年代〜)になると、インターネットに接続できるようになり、個人で画像もやりとりできるように。2010年代からの第4世代(LTE)では、スマートフォンで多彩なアプリを使い、映像などを配信できるようにもなっている。

 2019〜20年から5Gが始まる。そう考えれば、2030年には6Gの時代が到来してもおかしくない。歴史を振り返れば、非現実的な話ではない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.