14年のリスケ要請により、モード・フアムの経営実態が明るみに出ることとなった。金融機関の借入金は、11行から約12億円と決算書より数億円も過大で、N社からの借入金は約35億6000万円まで膨れ上がっていた。
この約35億6000万円は、決算書に一切記載されていない簿外債務だった。
関係者から「売上高の2倍以上の借入金が突如として現れた。こんなことをされては財務分析による与信判断は意味をなさない」「N社という企業名は、このときに初めて聞いた。35億円をいつ借りて、どのように使われたのか。年商1億円のN社という企業がどうしてモード・フアムにそんな多額の資金を貸し付けられたのか。分からないことだらけだ」といった驚きや怒りの声が数多くあがったのは当然だろう。
14年4月22日にバンクミーティングが開催され、今後の事業計画が提示された。
その内容は(1)金融機関への借入金は、年内は債権額の0.2%ずつを返済し、15年以降は0.35%ずつを返済する、(2)未払いの租税債務や社会保険料についても分割弁済する(3)社員は全員解雇、アルバイト社員が業務を担当するなどであった。
しかし金融機関にとっては、モード・フアムの収益や財務の状況が分からないまま、0.2%や0.35%といった根拠に乏しい返済額を提示され、さらに完済までに数十年かかる返済計画を提出されても、とうてい同意できるものではなかった。
また、関係者の最大の関心事であった簿外債務約35億6000万円について、過去にさかのぼっての調査結果などは公表されなかった。
N社の代表であると同時にモード・フアムの監査役であり、同社の経理を担当していたA氏も翌15年6月には監査役を辞任。大阪地裁へ提出された破産申立書の債権者名簿にもN社からの借入金は記載されておらず、借入金の資金使途や流れについて、ついに真相は明らかにされないままだった。
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