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» 2019年11月21日 05時00分 公開

あなたの会社は大丈夫? 『倒産の前兆』を探る(11):突如、明らかになった簿外債務35億円 最後まで説明責任を果たさなかった婦人用バッグ卸が示す「倒産の図式」 (1/4)

成功には決まったパターンが存在しないが、失敗には『公式』がある。どこにでもある普通の企業はなぜ倒産への道をたどったのだろうか。存続と倒産の分岐点になる「些細な出来事=前兆」にスポットを当て、「企業存続のための教訓」を探る。

[帝国データバンク 情報部,ITmedia]

連載「あなたの会社は大丈夫? 『倒産の前兆』を探る」

成功には決まったパターンが存在しないが、失敗には『公式』がある。どこにでもある普通の企業はなぜ倒産への道をたどったのだろうか。存続と倒産の分岐点になる「些細な出来事=前兆」にスポットを当て、「企業存続のための教訓」を探る。

第1回:格安旅行会社「てるみくらぶ」倒産の裏側に“キックバック依存経営”――多額の粉飾決算、社長らの詐欺

第2回:晴れの日を曇らせた着物レンタル「はれのひ」元社長の詐欺と粉飾決算――「成人の日に営業停止」の衝撃

第3回:スルガ銀と結託 “情弱”狙った「かぼちゃの馬車」運営会社の「詐欺まがいの手口」

第4回:太陽光ベンチャーを倒産に追い込んだ“制度の壁”――急成長企業の未熟さも足かせに

第5回:「経営陣の交代・奪還劇」が招いた倒産 “反社”関与もささやかれたエステ企業の粉飾決算

第6回:トラックレンタル業界の“異端児”が繰り広げた「違法すれすれの錬金術」――見せかけの急成長が招いた倒産事件

第7回:信用失墜が企業の「死」――親密取引先の破綻で連鎖倒産した“建機レンタル業界の異端児”

第8回:借り入れ依存度9割弱 金融機関の支援で「延命」されていた長野県有数の中小企業がたどった末路

第9回:主要取引先に依存する経営への“警鐘” そごう倒産で破綻に追い込まれたアパレル企業に学ぶ

第10回:大手金融機関の誘いに乗って「金融デリバティブ商品」に手を出した食品卸会社の末路

第11回:本記事


 1900年に創業した国内最大級の企業情報データを持つ帝国データバンク――。最大手の信用調査会社である同社は、これまで数えきれないほどの企業の破綻劇を、第一線で目撃してきた。

 金融機関やゼネコン、大手企業の破綻劇は、マスコミで大々的に報じられる。実際、2018年に発覚した、スルガ銀行によるシェアハウスの販売、サブリース事業者・スマートデイズへの不正融資問題などは、記憶にとどめている読者も多いだろう。一方、どこにでもある「普通の会社」がいかに潰れていったのかを知る機会はほとんどない。8月6日に発売された『倒産の前兆 (SB新書)』では、こうした普通の会社の栄光と凋落(ちょうらく)のストーリー、そして読者が自身に引き付けて学べる「企業存続のための教訓」を紹介している。

 帝国データバンクは同書でこう述べた。「企業倒産の現場を分析し続けて、分かったことがある。それは、成功には決まったパターンが存在しないが、失敗には『公式』がある」。

 もちろん、成功事例を知ることは重要だ。しかし、その方法は「ヒント」になりこそすれ、実践したとしても、他社と同様にうまくいくとは限らない。なぜなら、成功とは、決まった「一つの答え」は存在せず、いろいろな条件が複合的に組み合わさったものだからだ。一方で、他社の失敗は再現性の高いものである。なぜなら、経営とは一言で言い表すなら「人・モノ・カネ」の三要素のバランスを保つことであり、このうち一要素でも、何かしらの「綻(ほころ)び」が生じれば、倒産への道をたどることになる。

 そしてそれは、業種・職種を問わずあらゆる会社に普遍的に存在するような、些細(ささい)な出来事から生まれるものなのだ。実際、倒産劇の内幕を見ていくと、「なぜあの時、気付けなかったのか」と思うような、存続と倒産の分岐点になる「些細な出来事」が必ず存在する。同書ではそうした「些細な出来事=前兆」にスポットを当てて、法則性を明らかにしている。

 本連載「あなたの会社は大丈夫? 『倒産の前兆』を探る」では、『倒産の前兆』未収録の12のケースを取り上げ、「企業存続のための教訓」をお届けする。第11回目は主要取引先の倒産によって資金繰りが悪化し、コンプラ違反の「不誠実倒産」を繰り広げた婦人用バッグの卸業者を取り上げたい。

――婦人用バッグ卸 モード・フアム

婦人用バッグの卸業者として大手百貨店や量販店などに販路を拡大。しかし主要取引先の倒産によって多額が焦げ付き、さらには長引く消費低迷、取引先の売上減少による業績低迷によって、資金繰りは一気に悪化していく。それ以降、同社がなぞってしまったのは、過去にも複数の倒産企業で見られた、ある「倒産の図式」だった。

phot 30年以上の業歴をもつ婦人用バッグの卸業者はいかにして粉飾決算に手を染めたのか……(写真提供:ゲッティイメージズ)

コンプラ違反の「不誠実倒産」は、4億円もの焦げ付きから始まった

 モード・フアムは1984年8月に創業、87年9月に法人改組。30年以上の業歴をもつ婦人用バッグ、袋物の卸業者だった。

 主力のハンドバッグの商品価格帯は3000円〜1万円を主体に、オーストリッチを使った10万円程度の高級品も扱っていた。商品ターゲットはヤング層からシルバー層まで幅広く、自社で企画したバッグを海外(主に中国)で生産し、直輸入して国内販売していた。

 自社企画商品として「FISCH(フィッチ)」「TITE(ティテ)」「DELLA CLASSE(デラクラッセ)」「Pelle Club(ペレクラブ)」のブランドがあり、アパレルメーカーからのOEM受注による商品供給も展開する。

 百貨店催事向け納入業者として営業基盤を確立するほか、量販店、専門店、通販業者などの販路も開拓し、2002年7月期には年売上高約33億5900万円を計上していた。

 そんなモード・フアムに異変が起きたのは03年ごろ。東大阪市にある取引先が支払い不能になったことで約4億5700万円の大口焦げ付きが発生し、同社の資金繰りは急激に悪化したのだ。ここから坂道を転げ落ちるように、業績悪化、不審な負債の膨らみ、さらには粉飾決算へと突き進んでいく。

 年売上高33億5000万円余りのモード・フアムにとって、4億5000万円余りもの焦げ付きは、死活問題に発展しかねない金額だった。そのためメインバンクを中心に取引金融機関への運転資金の融資を要請したものの、支援は得られなかった。

phot モード・フアムがあった建物(写真提供:帝国データバンク)
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