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» 2019年11月25日 06時00分 公開

T-Mallやアリペイを生んだ:“中国最強のIT企業”アリババの原点 トップから社員まで「人気キャラの名前」で呼び合う謎文化 (1/4)

T-Mallやアリペイを生んだ中国の巨大IT、アリババ。その原点にあるのが「トップも社員もあだ名で呼び合う文化」だという。中国屈指のエコノミストである筆者が迫る。

[由曦,ITmedia]

編集部からのお知らせ:

本記事は、書籍『アント・フィナンシャルの成功法則: アリペイを生み出した巨大ユニコーン企業』(著・由曦 、訳・永井麻生子、中信出版日本)の中から一部抜粋し、転載したものです。T-Mallやタオバオ、アリペイを生んだ中国を代表するIT企業であるアリババの原点をお読みください。


 2003年9月のある日、淡い色のシャツ、黒のスラックス、革靴を履き、ブリーフケースを下げた倪行軍(ニーシンジュン)は、タオバオ(淘宝網)の面接試験を受けに来た。道に迷いながら進むと、彼の目の前に現れたのは住宅街の2階建ての小さなビルだったので、不安になった。

「場所を間違えたのだろうか」

 焦った倪行軍が関係者に電話すると、電話の向こうから聞こえてきたのは、話を伝える大きな声だった。――「汪ばあさん、面接の人だよ」。間もなく20歳過ぎの若い女性が建物から走って出てきた。のちに倪行軍はこの「ばあさん」と呼ばれた若い女性が、花名(ニックネーム)を「藍鳳凰(らんほうおう)」というタオバオの最初の人事担当者だと知る。

 タオバオは2003年5月にアリババが投資して設立されたC2C(消費者間取引)のWebサイト。現在では中国で知らぬ者のないこの企業の創業期のオフィスは杭州市湖畔花園の住宅地区にあった。

photo 中国を代表するIT企業、アリババグループ(提供:ロイター)

「アリババ発祥の地」で始まった秘密事業

 湖畔花園は、杭州の西部にある「アリババ発祥の地」だ。アリババグループの創始者であるジャック・マー(本名=馬雲、マーユン)は、1990年代末に、湖畔花園小区の16棟1区画202号室を購入した。この150平方メートルの住宅が、1999年にアリババ創業の事務所となった。

 現在ネット上で広く流布している「アリババ十八羅漢」(アリババの18人の創業者)会議の合同写真と動画はここで撮られたものだ。アリババが成功したのち、2003年にジャック・マーは、社員を集めて湖畔花園の2階建て一棟の住宅で秘密裏に新しい事業を始めさせた。

 このとき、シーナ(新浪)、ソーフ(捜狐)、ネットイース(網易)などのポータルサイトが人気を博しており、インスタントメッセンジャーを中心とするテンセント(騰訊)、検索を主とするバイドゥ(百度)、ゲームを主とするシャンダ(盛大)など16の企業が頭角を現し始めていた。電子商取引(eコマース)の分野では、同年6月、世界最大のオークションサイトであるアメリカのイーベイが1.5億ドルでイーチュイ(易趣)を買収し、中国市場への参入を高らかに宣言した。

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