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» 2019年11月25日 06時00分 公開

“中国最強のIT企業”アリババの原点 トップから社員まで「人気キャラの名前」で呼び合う謎文化T-Mallやアリペイを生んだ(4/4 ページ)

[由曦,ITmedia]
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全スタッフに「人気小説キャラ」のあだ名

 タオバオができてすぐの頃、ジャック・マーは全てのスタッフに金庸の武侠小説中の人物の名前を花名とするよう命じた。この伝統はアント・フィナンシャルにも息づいている。ジャック・マーは金庸マニアで、彼の好みが花名文化の誕生を促した。ジャック・マーの花名は「風清揚」である。

 「本名は人がつけたものだが、花名は自分でつけたものだ」

 私がアント・フィナンシャルのスタッフとやりとりをするなかで気づいたのは、花名は彼ら自身の本質を反映しているということだった。ある花名は自分の人生に対する一種の希望を託していた。花名のもととなる武侠人物の言動や使命は、彼らがバーチャルなイメージと精神的なモデルを構築することを助けていた。彼らは花名によって、現実の仕事のなかで理想や心情、あるいは奮闘精神なども強めていた。

 花名は聞いて美しく面白いだけでない。覚えやすく、職位の等級を曖昧にする効果もある。タオバオとアリペイの多くの一般社員は、自分の上司に対しても花名で呼び捨てにする。このことは、職位の上下による権力関係に対する意識を取り除き、親しい雰囲気をつくることができ、会社の管理体制にも貢献している。

 親しくない人でも小説のエピソードや人間関係などが実際の人間関係に反映して、冗談を言い合ったり、実際の関係と花名同士の関係のギャップが面白いとからかい合ったりした。みんなで大笑いしていると、より親密な関係になり、打ち解け合うことができる。

 長らくそうしていると、多くのスタッフの間で花名だけを知っていて本名を知らないということが出てくる。こうしてタオバオという企業は一種の文化を醸成していった。タオバオは「遊び心」が非常に強く、その臨機応変さはインターネットのイノベーションの特質と合致する。

 花名文化には隠れた力があり、アリババ系列の多くの元社員は起業するときにそれを模倣しようとする。これが花名文化を中国の多くのインターネット企業に根づかせた。

 現在、アント・フィナンシャルの多くの社員は倪行軍の本名を知らない。みんな彼を老苗(ラオミャオ)と呼ぶ。老苗はアント・フィナンシャルの発展の歴史を目撃してきた社員だった。

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