堀江: ただ、日本ではいくらがんばってキャンペーンをしたところで変わらないので、僕の最終的な結論は政治家に働きかけることだと思っています。
予防医療普及協会では、前回の参議院選挙の全候補者に、HPVワクチンの定期接種、積極的勧奨の再開についてどう思われますかというアンケートをとりました。だけど、意外と反対の人が多くて。共産党は全員反対でした。
ハヤカワ: それは党として理由があるのですか。
堀江: 共産党はそうですね。要は、ゼロリスク症候群です。
ハヤカワ: 確かに何もしない方が、ゼロリスクではありますからね。でもどうなんだろうという気はします。
堀江: 議員にとっては、選挙に受かることを最適化した場合に、HPVの積極的勧奨の再開について賛成をしても、おそらく票につながらない面はあると思います。
ハヤカワ: むしろ賛成するとデメリットの方が大きいですよね。反対派からバッシングを受けるリスクもありますから。
堀江: 僕は反対派の人たちはノイジーマイノリティーだと思っています。ほとんどの人たちは、どっちが正しいのだろうと思っている。日和見な人たち、サイレントマジョリティーはそうでしょう。だけど、ノイジーマイノリティーの力があまりにも強い。彼らはすごく積極的なので。
ハヤカワ: 電凸(電話で問い合わせる行為)とか当たり前になってきていますよね。脅迫まがいのこととか起きかねないです。
堀江: しかも、アンチワクチン派って、めちゃくちゃカルト化しているんですよ。よく思春期症候群とか言われたりするけれども、ホルモンバランスが崩れたりとかいろいろなことがあって。
ハヤカワ: ワクチンを打ったことで。
堀江: いや、打った子たちも打っていない子たちも。昔からそういうことがあるらしいです。小児科の領域ではわりと当たり前で、体の震えがとまらないとか、そういう原因不明の病気になるそうです。治療法もなかなかなくて、精神科のセラピーで結構治ったりするらしいですけど。
ハヤカワ: そうなんですか。
堀江: 精神的な面はホルモンバランスが関係しますよね。生理のことについて僕ら男性はあまり知らないので、若い頃、きのうまでニコニコしていた彼女が何で突然怒りっぽくなるのか、意味が分からなかったですね。
ハヤカワ: そうですね。ヒステリーという言葉の由来はギリシャ語の”子宮”です。それくらいホルモンバランスとヒステリーを起こすことには関連があると考えられてきましたし、そういった事実もあります。
堀江: 思春期になると、生理が始まって、いろいろなことがあってセンシティブになった人たちのなかで、そういった症状が出るケースがあるんですね。それを子宮頸がんワクチンのせいにされた部分があって。
ハヤカワ: ワクチンを打つタイミングも、それくらいの時期ですよね。
堀江: だからワクチンを原因にしたかった。これは別に日本だけで起きた問題ではなくて、世界中で反ワクチンというのはそういった形で起きているんです。それがどうなったかというと、その後セラピーを受けて治った人も結構います。
ハヤカワ: それは国内においてもですか。
堀江: そう。治った人はいます。治った人が被害者の会に参加していたけれども、治ったと言えない。
ハヤカワ: 治ったと言うとちょっとざわっとしますよね。
堀江: いや、それを言ったら迫害される。
ハヤカワ: 迫害される!
堀江: 迫害されるから出られない。だからすごく分断された世界だと思いますね。多くの人たちはおそらく、自分の言説と近い人たちしかフォローしていないから、世界が完全に分断している。精神的なボーダーは、もともと僕たちの頭の中で作ったものですから。
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