証券業界の売買手数料無料化の流れが加速している。ネット証券トップ2社も、auカブコム証券やマネックス証券などの動き(12月3日の記事参照)によって、無料化を早めた。
楽天証券は12月3日、SBI証券は4日に、取り扱うすべての投資信託の買付手数料の無料化を発表した。さらにSBI証券はETF、REIT、ETN、インフラファンドに限り、信用取引の手数料を全額キャッシュバック。また夜間のPTS取引についても全額キャッシュバックする。それぞれ12月16日から実施する。
SBI証券の手数料無料化の概要
SBI証券は、来春を目処にキャッシュバックではなく手数料自体を完全無料化するとしている。
それぞれ対象とする商品や、無料化なのかキャッシュバックなのかの違いはあるが、ネット証券大手5社がそれぞれ手数料無料化にかじを切った。ただし現物株の取引手数料については、現在のところ無料にまでは至っていない。
新興証券会社のストリーム(運営スマートプラス)は、現物株、信用取引ともに手数料無料としており、SBI証券は3年以内の無料化の方針を発表している。
株取引、手数料無料化の波 auカブコム、マネックスが信用取引無料に
株式の取引手数料無料化の波が急速にやってきている。先駆けとなったのは、米国証券大手のチャールズ・シュワブが10月1日に手数料撤廃を発表したことだ。SBIホールディングスは10月30日の決算発表にて、傘下の証券会社の取引手数料を今後3年でゼロにする構想を打ち出した。株式の取引にコストがかからない世界は、急速に近づいてきている。
マネックス、楽天証券、SBI証券が米株最低手数料いずれも廃止に
これまで最低5ドルかかっていた米国株の取引手数料だが、ネット証券大手3社の競争の結果、各社が廃止に。ただし本質的なコストについては、変わっていない。
証券会社が取引所のシェアを奪う? 実は超競争業界の「証券取引所」
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トヨタやソニーも過去に失敗 異業種の証券会社設立、成功のカギとは?
昨今、異業種からの証券事業参入が相次いでいる。しかし実は、異業種の証券事業参入は90年代末から00年代半ばにかけて度々みられた現象で、当時の大半の新規事業者は撤退を余儀なくされた。証券会社さえ作れば成功するという想定では足りず、証券事業を通じて本業の付加価値増加を伴うサービスであることまで求められる。
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