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» 2019年12月18日 07時30分 公開

KAMIYAMA Report:先進各国の財政・金融政策への期待 (1/2)

政府は、大型の経済対策(事業規模26兆円程度、財政支出13.2兆円程度)を閣議決定した。景気の下振れリスクに先手を打ち、成長分野への投資や自然災害への対応などを柱とし、関連費用は19年度補正予算と20年度当初予算に分けて計上されるという。予算案が実現する可能性は高そうだ。

[神山直樹,日興アセットマネジメント]
日興アセットマネジメント

日本の大型経済対策が期待されるが、実効性の確認が必要

 政府は、大型の経済対策(事業規模26兆円程度、財政支出13.2兆円程度)を閣議決定した。景気の下振れリスクに先手を打ち、成長分野への投資や自然災害への対応などを柱とし、関連費用は19年度補正予算と20年度当初予算に分けて計上されるという。予算案が実現する可能性は高そうだ。

閣議決定した経済対策の概要(12月5日時点の各種報道をもとに日興アセットマネジメントが作成)。上記は一部の項目であり、すべてではありません

 景気が悪いという状況でもないし、デフレが深刻化しているともいえない中での財政拡大に疑問の声はあるが、そもそも消費税率の引き上げという、社会保障費増大に備えて財政規律の強化を実現する目的があると考えれば、一種の保険的支出あるいは景気変動をスムーズにしようとする対策といえる。

 政治的な意味づけは別として、ここでは、投資家から見た予算拡大の意味を考えよう。国債市場からみると、一般には国債発行額の増加を意味するので、需給面に加え、景気拡大と物価上昇の可能性が高まることも金利上昇要因となる。しかし、米国と同様、日本も景気と物価の関係が“緩く”なっており、仮に需給で一時的に金利上昇となっても、すぐに投資家は国債を買おうとするだろう。

 株式市場からみると、短期的には建設業などの直接的な受注拡大、教育費無償化の恩恵を受ける世代の消費拡大と小売業などの売上拡大が期待される。金利やPERが安定していると想定すれば、利益増大はそのまま株価上昇につながると期待できる。

 しかしながら、問題は経済対策の効果だ。例えば建設業が受注を増やしても、建設従事者の供給には限りがあり、工事が実行できない恐れがある。また、消費底上げ対策についても、例えば教育費無償化の恩恵を受ける世代が、将来の学習塾代などに備えて貯蓄を増やすとすれば、10年後のGDPに貢献するとしても、現時点の企業の売り上げにはつながらない恐れもある。

 結論を一言で言えば、現時点で投資する上で、予算拡大の効果をそのまま期待するのは気が早い。今後、予算が、例えば主要産業の利益見通しの中に含まれて具体化されるときに、予算拡大の成果が確認されることになるだろう。裏返して言えば、補正予算の効果は、不確実性が高く、市場に十分織り込まれるのは時期尚早とみている。

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