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» 2019年12月26日 07時00分 公開

世界を読み解くニュース・サロン:世界の有能人材が「日本を避ける」未来 元TBS記者の性暴行事件が及ぼす深刻な影響 (2/4)

[山田敏弘,ITmedia]

海外メディアはどのように報じているか

 まず、海外メディアの論調を簡単にまとめるとこうなる。

 伊藤氏はジャーナリストとしてのキャリアを進めるために山口氏に仕事について相談をお願いし、東京で食事に行った。すると酒を飲んで記憶を失い、気が付けば山口氏が滞在していたホテルでレイプされていた。彼女は、薬を盛られたと見ている。タクシーの運転手の目撃談があり、伊藤氏は意識が薄い中で最寄り駅に行くよう主張していたが、山口氏がホテルに行くよう指示したという。

 山口氏は安倍晋三首相とも近い関係で、安倍首相について2冊の本を書いている。伊藤氏の告発により、山口氏は成田空港で逮捕されることになったが、直前で警察上層部からの指示により逮捕が取り消された。これについては、当の警察幹部が中止を指示したと認めている。

 こうした流れで話をみると、日本では女性の立場が弱く、首相の仲間ならば、口添えによってレイプ事件からも救ってもらえるという印象を持つ。これらの話が事実だとすれば、冷静に見ると日本は「男尊女卑」「独裁」といったイメージが容易に浮かぶような国なのかと思ってしまう。

 このケースは、米国で17年から大問題になったハリウッドの大物プロデューサー、ハービー・ワインスタイン氏のセクハラ問題とも重なる。ワインスタイン氏は結局、レイプや性的暴行の罪で有罪になっている。世界的な大ニュースであり、その後も、これをきっかけとしていろいろな業界で次々と大物のセクハラ問題が浮上し、「#MeToo」運動が広がるきっかけにもなった。

米国で問題になった事件で「#MeToo」運動が広がった(写真提供:ゲッティイメージズ)

 米国で人気のニュースサイト「デイリー・ビースト」は「伊藤詩織の苦境は世界的なニュースになっており、英公共放送のBBCでドキュメンタリー『Japan’s Secret Shame』として取り上げられている。その理由は、日本では性的暴行の疑惑で被害者が表に出てくることは他の国よりも珍しいからだ」と報じている。

 また世界的にも影響力の強いワシントン・ポスト紙などは、今回のレイプ事件では、山口氏に対する警察当局による逮捕中止と、検察官による審理拒絶があったために、安倍首相などとのコネによって山口氏が守られているのではないか、と指摘している。

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