日本が狙われる ロシアのドーピング処分で暴れる「クマさん」の危険世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)

» 2019年12月12日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

 恐れていた脅威が現実になるかもしれない。

 12月9日付の共同通信がこんなニュースを報じている。「世界反ドーピング機関(WADA)は9日、ロシアのドーピング不正に絡むデータ改ざん問題を巡ってスイスのローザンヌで臨時常任理事会を開き、ロシア選手団を東京五輪・パラリンピックや各競技の世界選手権など主要大会から4年間除外する厳罰処分を決めた。潔白を証明した選手のみ個人資格での東京大会出場を認める」

 つまり、2018年に韓国・平昌で開催された冬季五輪と同様に、ロシアは20年7月に始まる東京五輪に国として出場できなくなる。また東京五輪だけでなく、22年に中国・北京で開かれる冬季五輪も出場できないし、22年のサッカーワールドカップ(W杯)カタール大会にも出られない。

 史上類を見ない、かなり厳しい処分であるが、ドーピングのデータ改ざんは後ろめたいからこそ行うのであって、真面目にルールに従って戦っている選手たちには看過できない行為だ。ただこの決定の前から、筆者はこの動向に注目していた。なぜなら、ロシアが世界的なスポーツ大会から排除されることによって、また「クマさん」が大暴れするかもしれないからだ。日本企業が「クマさん」からの非常に危険な脅威にさらされる可能性が高くなったのである。

ロシアの「追放」で、東京五輪が脅威にさらされるかもしれない(写真:ロイター)

ロシアに根付く「不正の文化」

 本題の前に、まず今回のドーピング問題について簡単におさらいしたい。まずは時計の針を2014年に戻す必要がある。

 14年、ロシアの元陸上選手の夫婦が、ドイツのテレビ局に対して、ロシアで行われている組織的なドーピングについて内部告発を行った。例えば、アスリートのギャラから5%を差し引いて、ロシアの協会関係者らが禁止薬物などをアスリートに横流ししていたという。

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