東京商工リサーチが1月15日に発表した調査結果によると、2019年(1〜12月)に早期・希望退職者を募集した上場企業は延べ36社、対象人数は計1万1351人だった。過去5年間では最多。過去20年間で最も少なかった18年と比べると、社数、人数ともに約3倍に膨れ上がった。
1000人以上の募集・応募があったのは4社で、18年と比べて3社増加した。人数で最多だったのは、富士通の2850人だった。次いで、ルネサスエレクトロニクスの約1500人。子会社の売却や事業の選択・集中を進める東芝は1410人、経営再建中のジャパンディスプレイは1200人の募集を実施した。
業種別でみると、業績不振が目立つ「電気機器」が延べ12社で最多。子会社で年に2回募集を実施した東芝、最終赤字を計上したFDK、債務超過のジャパンディスプレイなどが挙がる。
実施企業のうち、全体の65.7%となる23社は減収減益または最終赤字を計上しており、業績不振の中でリストラを実施した。一方、「製薬」は4社中3社が直近の決算で増収増益。「薬価改定や国外メーカーのライセンス販売終了などを控え、今後を見据えた“先行型”の実施が目立った」(東京商工リサーチ)という。
20年以降もすでに9社が実施を公表しており、対象人数は計1550人に上る。9社のうち、直近の決算で最終赤字、減収減益となったのはそれぞれ1社。他の7社は業績が堅調な業界大手が占める。市場環境の変化などにさらされる前に構造改革を進めようとする動きは20年も広がるかもしれない。
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