「おにぎり100円」「コーヒー80円」のミニストップ 値下げ以外に求められる“大改革”長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/4 ページ)

» 2020年01月28日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

競合の追い上げで薄れていった存在感

 コンビニのコーヒーというと、セブン‐イレブン・ジャパンが2012年に導入した1杯100円のカウンターコーヒーのヒットが印象深い。「セブンカフェ」として展開され、セルフで操作するドリップ式コーヒーマシンが世間に広まった。

 その少し前、10年頃からコンビニ各社はカウンターコーヒーに力を入れてきた。特に、ミニストップでは09年から厨房を併設している強みを生かして、店内でいれたコーヒーを提供し始めた。全国展開も競合他社より早かった。今のミニストップカフェは、セブンカフェと同様にコーヒーマシンを使ってひき立てのコーヒーを出しているが、当初はセルフ式で専用サーバーから作り置きのコーヒーを提供するスタイルだった。

 業界4位のミニストップは1980年設立。コンビニ主要3社のセブン、ローソン、ファミリーマートが74年前後に1号店をオープンしているので、後発に位置付けられる。そのため、店内調理を行い、ファストフードとの良いとこ取りを狙った斬新な業態として提案された。周知の通りイオンのグループ会社である。

 今では当たり前にあるコンビニのイートインを普及させたのは、ミニストップの功績。ミニストップはファストフード店の側面を持つので、店内で座ってゆっくり食べられるのが差別化のポイントだった。

 2002年にはソフトミックスでは初めてベルギーチョコレートを原料に練り込んだ「ベルギーチョコソフト」を発売。現在でも看板商品となっているベルギーチョコソフトや、フィリピンのトロピカルなかき氷デザート「ハロハロ」のヒットにより、コンビニでは弱かった女性客の取り込みにも成功している。

ミニストップの人気シリーズ「ハロハロ」(出所:ミニストップ公式Webサイト)

 このように、ミニストップは従来にない発想で幾多のヒットを放ってきた。しかし、後から改善してきた競合他社の目標となり、会心のソリューションを提案されてしまい、尻すぼみになるケースが多い。

 セブンカフェのコーヒーが作り置きではないドリップ式を採用し、クリエイティブディレクター・佐藤可士和氏のシンプルかつシャープなデザインのマシンで提案されたのが典型的な例だ。

 スイーツに関しても、09年にローソンがスプーンですくって食べる「プレミアムロールケーキ」をヒットさせたことで、店内調理でなくてもコンビニが専門店に匹敵するような女性受けする商品を出せることを証明。ファミリーマートも10年から、男性をターゲットとした「俺のスイーツ」シリーズを仕掛けてきたので、ミニストップのスイーツにおける優位性が揺らいできた。

 さらには、この頃から大手3社が無料で充電できるより居心地の良いイートイン空間をつくってきたので、ミニストップの存在感がどんどん薄れてきた感がある。

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