#SHIFT

WBCで日本を優勝に導いた里崎智也が語る「プロ野球ビジネスのオモテとウラ」里崎智也インタビュー【前編】(3/4 ページ)

» 2020年01月31日 05時00分 公開
[瀬川泰祐ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

プレミア12が盛り上がらなかった理由

――昨年11月に開催されたプレミア12では侍ジャパンが優勝しましたが、盛り上がりに欠けたように思います。一般の人はWBCとの違いもよく分からないと思いますので、その違いを説明してもらえますか?

 WBCはワールド・ベースボール・クラシック・インク(MLBの選手会が立ち上げた組織)とMLB(メジャーリーグベースボール)が作った大会です。一方、プレミア12は、世界野球ソフトボール連盟が作った大会。この2つの明白な違いは、プレミア12にはメジャーリーガーが出場しないということにあります。なぜならメジャーリーガーは、自分たちが主催するWBCが世界一を決める大会じゃなくては困るわけですから。

 メジャーの選手会もWBCに絡んでいる以上、もし自分たちがプレミア12に出場して、それが世界一を決める大会になってしまえば、それは自分たちの首を絞めることにもなるのです。もともと、日本には「侍ジャパン」を興行化してもっと試合をしていきたいという意向があったはずです。ですが、WBCはMLBが主導しているため、日本の意向はなかなか通りません。そのため、日本にとっては、プレミア12が必要だったのだと思います。

――その意味では、日本の進むべき方向は間違っていないということでしょうか?

 間違ってはいないと思いますが、メジャーリーグの選手たちは一生協力してくれないので、大会の価値は上がりませんよね。

 先日、アメリカに住む友人にプレミア12の報道状況を聞いてみましたが、ほとんど報道されていなかったそうです。一部のオリンピック関連のニュースを扱う番組では報道されたようですが、あくまでも、東京オリンピックの予選会という位置付けです。

 例えば、メキシコ代表は、ジャイアンツで一軍に入れないようなビアヌエバ選手が4番を打ち、阪神で1軍に入れないナバーロ選手が6番を打っていました。そんなチームが強いのかという話です。もちろん、選手たちは真剣にやっていますよ。でも国の代表としてはベストじゃないですよね。これでは、世界から見た「大会の価値」は上がらないし、盛り上がらないですよね。

phot

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.