「雇用保険に関する大切なお知らせです」
こんな手紙が記者の自宅に突然送られてきた。差出人は「厚生労働省職業安定局雇用保険課」となっている。手紙の裏を見ると「同封の書類は、お客様の雇用保険に関する重要なものです」と赤字で記載されている。
「新手の詐欺か?」
記者は不審に思った。会社員人生を15年近く続けているが、雇用保険を給付されたのは過去に一度だけだったと記憶していたからだ。14年前、新卒で入社した会社を1年弱で退社し、ハローワークに通っていたころにお世話になった。再就職後は無職の期間はなく、雇用保険を支払い続けてきた。
手紙を開封してみることにした。すると、返信用の封筒など書類一式が出てきた。「雇用保険の追加給付に関するお知らせとお願い」と書かれた書類を読んでみると、次のことが分かった。
毎月勤労統計調査をはじめとする厚労省が所管する統計について、2019年に不正が発覚した。全数調査をしなければならないのに、一部抽出調査が行われていたのだ。そのため、雇用保険や労災保険などで多くの受給者が支払い不足の状態に陥っていた。厚労省は対象者に対して支払いをする準備を進めており、ハローワークで保有する氏名・生年月日などをもとに調査。記者が追加給付の対象であることが分かったという。
用紙の「お客様の情報」という欄を見ると、記者の名前(片仮名)、生年月日、性別、受給時期が記載されていた。受給時期は間違いがないことが確認できた。
支払いを受けるにはどうするのか。同封されている「払渡希望金融機関指定(変更)届」に記入して厚労省に返信。内容が確認された後、口座への支払い手続きが進められるという。お金が振り込まれる金融機関の口座番号などを記載する必要があるということだ。
詐欺ではないかどうかを確認するため、厚労省に取材を行った。
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