埋没気味だった「喜多方ラーメン坂内」が逆襲を開始 あっさり味が国内外で支持されそうな理由長浜淳之介のトレンドアンテナ(6/6 ページ)

» 2020年02月12日 15時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]
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消費増税を乗り越えた秘策

 2代目の中原誠社長は、ランチ需要が多い東京都心部のビジネス街への出店で、業績を建て直し、今後は首都圏郊外のロードサイドを攻めるという。郊外ならば、出店費用や人件費も安く、利益率が向上すると見込んでいる。

 19年10月の消費増税対策として、さまざまな準備をしてきた。10月以降も業績は落ちず、年間を通せば既存店売上高が前年を上回った。

 どのような準備をしてきたのか。まず、18年に品質管理部を立ち上げ、本部スタッフが実際に店の厨房に入って、味のブレが出ないようにレベルアップを進めてきた。

 また、モバイルで2週間に1回クーポンが届くアプリが好評で、50万人の会員を集めている。クーポンで再来店する確率は5%だが、ばかにできない人数になる。このアプリで、顧客のデータを集めており、販売促進などあらゆる活用を考えていく方針だ。

 さらに、米国のロサンゼルス、シカゴ、ニューヨークに店舗があるが、ロサンゼルス郊外にある米国1号店は、ラーメン店の居抜きで出店。今でも30分ほどのウエイティングが出るほどの人気だという。

ロサンゼルスの店には行列が

 海外では豚骨ラーメンが主流だが、米国はベトナムのフォーを食べる食文化が根付いている。こってりした豚骨に飽きたラーメンファンに、正反対のあっさりしたしょうゆラーメンが刺さると考えている。

 日本は少子高齢化が進んでいる。濃厚な豚骨や鶏がらを使う濁ったスープや、煮干し・背脂・唐辛子などを過剰に投入した若者向けラーメンは、中高年以上には厳しく、今後は市場が広がりにくい可能性が高い。

 一方で、喜多方ラーメンのようなあっさりした、毎日でも食べられて胃持たれしにくいラーメンが、有利になっていくのではないだろうか。坂内の逆襲は始まったばかりだ。

炙り焼豚ご飯セット

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。


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