2代目の中原誠社長は、ランチ需要が多い東京都心部のビジネス街への出店で、業績を建て直し、今後は首都圏郊外のロードサイドを攻めるという。郊外ならば、出店費用や人件費も安く、利益率が向上すると見込んでいる。
19年10月の消費増税対策として、さまざまな準備をしてきた。10月以降も業績は落ちず、年間を通せば既存店売上高が前年を上回った。
どのような準備をしてきたのか。まず、18年に品質管理部を立ち上げ、本部スタッフが実際に店の厨房に入って、味のブレが出ないようにレベルアップを進めてきた。
また、モバイルで2週間に1回クーポンが届くアプリが好評で、50万人の会員を集めている。クーポンで再来店する確率は5%だが、ばかにできない人数になる。このアプリで、顧客のデータを集めており、販売促進などあらゆる活用を考えていく方針だ。
さらに、米国のロサンゼルス、シカゴ、ニューヨークに店舗があるが、ロサンゼルス郊外にある米国1号店は、ラーメン店の居抜きで出店。今でも30分ほどのウエイティングが出るほどの人気だという。
海外では豚骨ラーメンが主流だが、米国はベトナムのフォーを食べる食文化が根付いている。こってりした豚骨に飽きたラーメンファンに、正反対のあっさりしたしょうゆラーメンが刺さると考えている。
日本は少子高齢化が進んでいる。濃厚な豚骨や鶏がらを使う濁ったスープや、煮干し・背脂・唐辛子などを過剰に投入した若者向けラーメンは、中高年以上には厳しく、今後は市場が広がりにくい可能性が高い。
一方で、喜多方ラーメンのようなあっさりした、毎日でも食べられて胃持たれしにくいラーメンが、有利になっていくのではないだろうか。坂内の逆襲は始まったばかりだ。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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