「おとなのジャンプ酒場」が“キン肉マン一色”に!? V字回復を成し遂げた“特化型戦略”の狙い遠のいた客足をいかにして戻したか(2/3 ページ)

» 2020年02月18日 04時00分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

歌舞伎町を「聖地」に 女性客狙う

 「シティーハンター」は「ジャンプ酒場」のある歌舞伎町を舞台としており、作品の世界観との相乗効果も期待できたという。ちょうど10月末に19年2月に公開された劇場アニメのBlu-ray(ブルーレイ)が発売になり、11月末から実写映画「シティーハンター」の全国公開が始まることから、11月は“シティーハンター月間”のような形で、1作品に注力する形で実施してみたという。

 「すると、今までとは全く違った客層のお客さんが来るようになったのです。これまでのお客さんは30代以上の男性の方が圧倒的に多かったのですが、『シティーハンター』を始めたところ、30代40代の女性が大挙して連日来ていただけるようになり、全く予約が取れない状況になりました」(東さん)

 「シティーハンター」とのコラボは、内装はそのままであるものの、女性向けのコラボメニューを増やすなど、顧客のニーズに合わせたものを提供した。すると人気は急上昇。近隣に映画館もあることから、映画館で「シティーハンター」を見てからお店を訪れる人や、お店で食事をしてから映画館に向かう人、中にはお店で食事をしてから映画館に行き、またお店に戻ってくる熱烈なファンもいたという。「聖地」との相乗効果は絶大だったといえる。

photo 展示されていた「キン肉マン キンケシ シリーズ」

 「実は、最初は『ジャンプ』全体のファンを大切に考えるあまり、特定の作品だけに特化してやるのは正直どうかなと思っていました。しかし、この『シティーハンター』効果のおかげで、11月の来店者数は2000人強。予約がほぼ埋まっていた8月が2300人でしたので、ピークに匹敵するくらいの盛況ぶりでした」(東さん)

 1つの作品に特化すれば、店に訪れるファン層も絞られるが、“シティーハンター月間”のグッズの売り上げは過去最高だったという。目覚ましいV字回復を見せた形だが、東さんはこう締めくくる。

 「やはり、『ジャンプ』の看板だけではダメということなんでしょうね。居酒屋として、料理やサービスなど全体の平均値は上げつつも、手を替え、品を替え、さまざまなアイデアや企画を継続的に打ち出していくことが求められているのだと思います」

photo ゆでたまごさんがビートルズのアビィロードに似せて歩くところを撮影したポスター
photo キン肉マンのグッズ
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