本記事は、書籍『反日韓国という幻想 誤解だらけの日韓関係』(著・澤田 克己 、毎日新聞出版)の中から一部抜粋し、転載したものです。著者は毎日新聞外信部長で、朝鮮半島情勢について長く取材してきた記者。今は「第3次」とされる韓流ブームの支持者とそのメカニズム、それでも実は日本の中高年に「反韓」感情が少なくない理由について分析します。
第1次韓流ブームというのは実際にどれほどのものなのだろうか。まず第1次と第2次の韓流ブームとは何かを見ておこう。
「第1次韓流ブーム」というのは2003年にNHKがBSでドラマ「冬のソナタ」を放送したことを契機に起きたものだ。主演の「ヨン様」ことぺ・ヨンジュンを追いかける中高年女性を中心とした大ブームとなった。
私はこの時にソウル特派員をしていたのだが、ソウル市内のホテルでのイベントに登場するペ・ヨンジュンを一目見ようと、日本人女性ファンが押し合いへし合いする姿に驚かされたものだ。その後韓流ドラマが日本の地上波で放送されることは珍しくなくなり、「宮廷女官チャングムの誓い」には多くの男性ファンが付いた。
一方、10年にドラマ「美男ですね」がフジテレビなどで放送され、主演のチャン・グンソクの人気に火がついたことで、「第2次韓流ブーム」は始まった。第2次韓流ブームではK-POPが特に注目され、ガールズグループの「少女時代」や「KARA」、男性グループである「東方神起」「BIGBANG(ビッグバン)」「2PM」などが主導した。
「冬ソナ」放送の前年である02年にはサッカー・ワールドカップ(W杯)が日韓共催で行われていた。日本政府が毎年秋から冬にかけて行う「外交に関する世論調査」でも、それまで4割前後だった「韓国に親しみを感じる」という回答が1990年代末から上昇を始めた。2000年にはソウル五輪のあった1988年(50.9%)を上回る51.4%となり、2003年には55%だった。それだけに第1次韓流ブームは多くの人に認知され、2004年の流行語大賞トップテンには「冬ソナ」が選ばれた。
第2次韓流ブームは、韓国経済がリーマンショック後の世界的不況からいち早くV字回復を果たした時期に重なる。サムスン電子に代表される韓国企業が世界市場で存在感を増し、日本では「日本企業はなぜサムスンに負け続けるのか」(『文藝春秋』2010年2月号)などといった記事が雑誌をにぎわせた。
サムスン電子は、米インターブランドの算出する「世界ブランドランキング」で2012年に初のベストテン入りを果たし、トヨタの10位を上回った。その後もサムスンの快進撃は続く。2019年のランキング1位はアップルで、グーグル、アマゾン、マイクロソフト、コカコーラと続き、6位がサムスン、7位がトヨタである。
第2次韓流ブームの絶頂期は2012年夏までだろう。11年のNHK紅白歌合戦には東方神起、少女時代、KARAというK-POPスター3組が顔をそろえたが、12年8月の李明博大統領による竹島上陸で一気に熱が冷め、同年の紅白歌合戦からK-POPスターの姿は消えた。
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