ただ中国のアプリの怖いところは、こうしたデータが全て政府や警察などと共有されてしまうことだ。登録して情報を入れると、随時それが警察当局に送られることになり、健康状態も管理される、と米メディアなどは報じている。
そんな徹底した管理体制を敷いている中国では、それでもまだ感染者数が増え続けている。逆に言えば、スマホの時代でなかったら、感染者数はさらに多かったに違いない。そうすれば、世界的にもっと多くの人たちが新型コロナに感染していたかもしれない。
スマホの時代になった今、感染症が世界に拡散されるのを食い止めるために、日本もアプリのような新しいテクノロジーをもっと駆使できないものだろうか。例えば、多くの人が集まっている地域を時間ごとに地図で示してくれるようなアプリが参考になるかもしれない。電車の混み具合をピンポイントで車両ごとに教えてくれるアプリももっと広がれば便利だろう。またマスクや消毒液、トイレットペーパーなどの在庫状況が細かく分かるアプリもあれば、買い占めパニックは軽減されたかもしれない。
スマホの時代だからこそ、社会に貢献するようなアイデアが求められている。
山田敏弘
元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。
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