居酒屋はどうなっているのか。日常食に近い低価格帯は好調で、おしゃれな中高価格帯や宴会需要の多い総合居酒屋は苦戦している。
2月と1月の既存店売上高は、鳥貴族「鳥貴族」は106.0%(107.5%)、串カツ田中ホールディングス「串カツ田中」は102.9%(117.4%)といったように、主に2〜4人程度の小人数のグループを対象に商売をしている低価格の店は比較的順調だ。
東京・新橋に集中出店しており、立ち飲みを主力とする格安居酒屋、魚金グループの店舗をざっと見ても、そんなには顧客が減っているようには見えない。
しかし、自宅で仕事をするリモートワークが広がってくると、特に都心部に集中する居酒屋は、低価格といえども影響を受けてくる可能性が高い。
女性が好むようなおしゃれで中価格帯の居酒屋「KICHIRI」を主力とする、きちりホールディングスは93.6%(99.5%)。前年割れしているだけでなく、2月は1月より6ポイントほど落下している。顧客が不要不急の集まりを避けている傾向が出ている。
居酒屋というよりディナーレストランのカテゴリーに入り、東京都心部を中心に「モンスーンカフェ」「ラ・ボエム」などのおしゃれな店を経営するグローバルダイニングも92.6%(102.0%)となっており、急に客足が鈍っている。
会社の経費で行くような高級店も、多くの企業が不要不急の酒席を自主規制しているため、全般に苦戦を強いられている。グローバルダイニングが経営する「権八」は84.1%(100.9%)と厳しい。権八の西麻布店は小泉純一郎元首相・ブッシュ元米国大統領の会食に使われた
総合居酒屋は、「2月後半から失速した」との状況認識だ。つまり、一般国民に新型コロナに対する危機感が広がってくると共に売り上げが落ちた。20〜30年と長く営業している店も多くある総合居酒屋は、「毎日のように1人で来るヘビーな常連客を抱えている強みはあるものの、3月と4月の宴会のキャンセルが相次いでいる」(養老乃瀧)と、頭を抱えている。他のチェーンも同様だ。
3月と4月は、卒業・入学・入社・転勤などといった歓送迎会の季節で、居酒屋(特に総合居酒屋)にとっては書き入れ時。それだけに、新型コロナの収束を待ちわびている。また、花見の宴席も自粛する流れとなっている。
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