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新人の育成スピードを上げる環境の作り方新人の育て方 第4回(1/2 ページ)

» 2020年03月12日 08時00分 公開
[島村公俊ITmedia]
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 あなたが担当している新入社員は、質問や相談が苦手で、ただただ時間を無駄にしてしまっていることはありませんか?

 こうした状況は、新入社員にとってみると仕事を前に進めることが難しく、イライラや不安を増大させます。しかし、このイライラや無駄な時間は、指導者であるあなたには見えづらい部分です。なぜならば、指導者はとても忙しく、新人のそばでいつも面倒を見ることなどできないからです。

 この問題を放置しておくと育成効率が下がり、育成スピードを上げることなどできません。では、こうした状況をどう打破したらよいのでしょうか。今回は「育成スピードを上げる環境の作り方」というテーマでお話ししていきます。

育成スピードを上げるためのポイントは?(写真提供:ゲッティイメージズ)

相談が苦手な新人をスピーディーに育てる方法

 まず、環境づくりの前に、そもそも質問や相談が苦手な新人についてお話ししたいと思います。長年新人と接していると、教わり上手な新人と教わり下手な新人という2つのタイプが存在することに気が付きます。

 前者は、周囲からうまくアドバイスをもらいながら、良い成果を出していくタイプです。後者は、周囲からの助言をうまくもらえない、あるいはもらおうとしないタイプです。

 私はあるとき、(後者のタイプなのですが)自信満々の新人A君に質問しました。「なぜ全部自分でやろうとして、もっと周囲の人に頼ろうとしないの?」。これに対してA君の答えはこうでした。

 「自分一人でやろうとするのが、なぜいけないんですか? だって、まわりに頼ったら負けじゃないですか。一人で対応できない人というレッテルを貼られるのは絶対に嫌です」

 私は別の新人であるB君にも同じような質問をしてみました。そのB君は、A君とは少し異なり、あまり自信がないタイプの新人でした。「業務を進める際に自信がなかったら、もっと周囲の人に頼ってみたら?」。するとB君は「もっと頼りたいのですが、なんか先輩方は忙しそうで、申し訳なくて……」と答えました。

 このようにタイプは違っても、周囲の先輩に頼ることを苦手と感じる新人がとても多いのです。頼ることは「できない自分を認めること」であったり、「迷惑を掛けること」などと思っているわけです。

 ですから、指導者の私たちが新人に理解させるべきなのは、周囲に頼ることの意味です。その意味とは、周囲を適切に巻き込むことで、仕事をスピーディーに前に進め、より高い成果を出すということです。勝ち負けにこだわったり、相手に気を遣い過ぎることで、よりスピーディーに仕事ができる環境を自ら放棄する行為は、チームの生産性に対して明らかにマイナスであリ、早急に改めるべきということをしっかりと伝える必要があります。

 では、その意味を理解させた上で、新人には具体的にどんなアドバイスをしたらいいでしょうか?

 例えば、A君には「人に頼ることは負けることではないよ。うまく人に頼って、より早く良いものができるなら、そのほうが仕事の依頼者やお客さまはもっとあなたを評価してくれるのではないかな?」というアドバイスが考えられます。

 一方、B君には「相談すると迷惑を掛けてしまうと思っているみたいだけど、頼るべきときに頼らず、時間がかかった割に、最後に仕事の品質が落ちたらもっと迷惑を掛けるのではないかな? 良い仕事をするためにも、怖がらずに積極的にコミュニケーションをとるべきだよ」というニュアンスで伝えてみてください。

・匠の時短質問

 周囲にアドバイスを求めるのが苦手な新人に対して、

「誰かに頼るのは良くないことだと思ってないかな?」

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